母のせん妄 - 見守る心で患者になった親と自分を支える

せん妄は病気ではないのか、治療はできないのか。
そんな疑問と不安

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せん妄そのものを診察し、治療するということはないのでしょうか - 少なくとも、私たち家族にはそう見えたのですが・・・。

せん妄の症状が出ているという医師からの説明はありませんでしたし、私たち家族からの質問にも「想定の範囲内で深刻なものではないので心配はいりませんよ」という答えが返ってくるだけ(のように感じる)。

付き添う家族も不安の中で支えを必要としている

これだけを聞いてしまうと、病院や医師が患者の立場に立っているとか立っていないとかいう話しになってしまいそうですが、家族(患者に付き添っている自分)も医師(病院)と力を合わせて患者(親)を守り、治療するのだいう視点に立てないものだろうかと感じます。

私は医師でもないし、医療に関する仕事に就いているわけでもありません。ただ、父と母の治療や闘病、そして入院を通して経験したせん妄からそう感じています。

家族にとっては人格が変わってしまった、壊れてしまったと感じるような異常な - 普通だとは思えない - 言動が現れているのに、「想定内のことで今のストレスがなくなればもとに戻りますから」と言われるだけでこれと言ってその症状を和らげるための処置がとられるわけではない(ように感じる)となれば、穏やかには見ていられないという心理状態になります。

この “穏やかには見ていられない” 心理状態になった時点で、患者とは別の意味で家族もケアを必要とする状態になっています。つまり、自分では自分を立て直すことがむずかしい状態、と言えばいいでしょうか。

そうなってしまえば、家族は患者(親)を支えるだけで疲れ切ってしまうだろうと思うのです。
症状に対する心配や疑念があっても、それがクリアにできないまま。その状態で患者(親)を支えようとするのですから、アースが取れていない状態で静電気がたまっていくようなもの。

けれど、医師(病院)と力を合わせて患者(親)を守る - そんな感覚に立つことができれば、

  • せん妄そのものを診察し、治療する必要なないのか
  • せん妄そのものを診察し、治療することはできないのか
  • せん妄そのものを診察し、治療することなしに本来の治療はしっかり進められるのか

そんな冷静な、広い視野での質問をすることができるのではないかと思うのです。それが、自分自身を支えることにもつながります。
そうした相談、説明を求めていけないということはありませんし、求めれば医師は対応してくれるはずです。

家族には自分たちと患者を守る力があるはず

守りたいのは
(c) Can Stock Photo

母は大腸がん、右腎がんの切除手術とそのための入院の間にせん妄を発症しました。
術後に処方された鎮痛剤がその原因だろうと主治医が判断していることを、私は主治医との話しで確認しました。

せん妄の症状は場合によって短時間で変化することもあるし、短時間で収まる可能性もあるということも含めての話しでした。

  • 大腸がん、右腎がんの切除がそのときの入院の目的であるから、
  • 原因となっている可能性のある鎮痛剤の使用をひかえ、代わりとなる薬に切り替えていく計画であること、
  • さらには、患者(親)の生命や身体的な危険、影響がないと判断される以上、拘束やせん妄そのものへの治療を処方することはないということ

そうした、家族(私たち自身)の疑問をクリアにする説明を受けることもできたのです。

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私は、こうした医師と家族、あるいは患者との意思疎通こそインフォームド・コンセントの本来なのだろうと思っているのですが、何より家族の側の、医師(病院)と力を合わせて患者(親)を守る意識にかかっているのではないかと感じています。

意思疎通ですから、家族の側の意識だけで成り立つものではありません。医師と家族(患者を含め)の双方に、意思を通じさせようとする思いや姿勢が必要です。

ただ、家族にはその意識が欠けがちではないのだろうか、それゆえに、家族自身が苦しんでいるのではないのだろうか - 自分の兄妹たちを見てきてそんな思いを強くしたのです。

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