のこぎりの使い方 - そのヒント
のこぎりも、ほかの日曜大工の道具 - のみやかんな、金づちなど - と同じように、構造も使い方もとてもシンプルなものです。もちろん、その工法は熟練の技術がなければ実現できるものではありませんが、長い年月をかけて、先人たちの技術と経験を注がれて今のようなシンプルな姿になったのではないかと感じます。
ただ、シンプルに見えるのこぎりも、実は直線に切るために必要な構造になっている - 先人たちの技術を確認してみると、うまく使いこなし、納得の仕上がりに近づくヒントが得られます。
直線加工ののこぎりを使うときにはただ、まっすぐに切りること。そのことを忘れずに確認と練習を進めましょう。
のこ刃の特性
のこぎりをうまく使いこなせるようになるためには、のこ刃の特性を覚えることが必要です。そののこ刃の特性を、どう使えばよいかという面から確認しましょう。
最初のヒントは、
のこ刃が同じならば、刃の角度が深いほどのこ刃が木材を噛み、切り進む力が強い
木材に対するのこ刃の角度が浅いと | 木材に対するのこ刃の角度が深いと |
木材を噛む力は弱く | 木材を噛む力は強く |
切り進む力は弱く | 切り進む力は強く |
切り口は整いやすく | 切り口は荒れやすくなる |
第2のヒントは、
のこ刃は、ピッチが大きいほどのこ刃が木材を噛み、切り進む力が強い
のこ刃のピッチが小さい (刃が細かい)と |
のこ刃のピッチが大きい (刃が粗い)と |
木材を噛む力は弱く | 木材を噛む力は強く |
切り進む力は弱く | 切り進む力は強く |
切り口は整いやすく | 切り口は荒れやすくなる |
横びきにしても縦びきにしても
- 細かいのこ刃は、より繊細にきれいな切り口でゆっくりあわてず切り進める刃。
刃をしっかり噛みこませ切り込むには刃を深く - 粗いのこ刃で、よりきれいな切り口で切り進めようとしたときには、刃の角度を浅めに抑えるとよい
おおよそ、そんな傾向になります。
そうしたのこ刃の特性を理解できると、たとえば、
- 切断に時間がかかる場合には、刃の角度は深めに
- 切り口が曲がりやすい場合には、刃の角度は浅めに、あるいは
- 切り口がざらざらとしてあまりきれいではないとしたら、刃の角度を浅めにしてみるなど
使いこなすためのコツがイメージできるようになると思います。
こうしたのこ刃のピッチ(刃の大きさ)と木材に対する刃の角度の関係をビジュアルにまとめておいてみましょう。

のこ刃の角度とは
木材に対するのこ刃の角度 - その浅い、深い - とはどういうことでしょうか?

木材の面(青線)とのこ刃の線(赤線)が作る角度 (黒の両矢印)が
- 垂直方向(90°)に向かって開いていく(のこぎり自体がより立った)状態が深い角度、そして
- 逆に、木材の面に向かって閉じていく(のこぎり自体がより水平にねた)状態が浅い角度 です。
のこ刃の特性はのこぎりを使いこなすための基本中の基本。それがしっかりイメージできたら、のこぎりを持ち、墨線を引いた木材に向かいましょう。
切りはじめ
切りはじめのコツものこ刃の角度
墨線に対するのこ刃の位置を決め、 小刻みに刃を前後させて切り込みをつけたいと思っても刃がひっかかったようになって動かせ なくなってしまったり、思った以上に木目がおおきくかけてしまったりということが起こってうまく切りはじめられない、あるいは、のこ刃がすべって狙ってい た位置ではないところを傷つけてしまったり - そんな経験がないでしょうか。
のこぎりを使い始めてみてみると、墨線に対してのこ刃の位置を決め、切り口をつける切りはじめが意外とむずかしいということに気がつくと思います。
切り込みの角度 - 木材に対するのこ刃の角度 - を浅くしてのこぎりを細かく前後させる・・・という、その最初の一手がなかなか自然にこなせないと感じているとしたら、まずはリラックス。そして、木材とのこ刃の角度を見直すことからはじめましょう。
切りはじめのひと工夫はのこ刃の構造を知ることから
たかが切りはじめのひと筋とはいっても、木材に対する刃の角度の原理はまったく同じ。横びきか縦びきか、あるいはのこ刃のピッチとの関係でうまくいかないが決まってきます。
ベストの角度を探しながら、この次は切りはじめのちょっとしたひと工夫も確認しておきましょう。
To be continued…