一生に一度の経験
両親が健在である、ないに関わらず、考えてみれば、家の維持管理の基本のというのは変わらないものです。普段自分の生活の月ごとの支払いで意識することを思い起こせば、何をすべきかとあまり迷う必要もないのかも知れませんが、実際、そうした対応を考えなくてはならないとなると、反応できるようになるのに時間がかかったというのが正直なところかも知れません。
相続手続きを要する項目 - ライフラインの金銭面
- 年に1度か、分割数回かの違いはあるとしても固定資産税の支払いからはじまって
- その土地の、たとえば自治会への所属をどうするか、会費の支払いをどうするか
- 電気
- 水道
- ガス
- 電話
- 下水道・浄化槽の管理
こうした項目、言い換えれば、住む場所とそれに必要なライフラインの維持というのは、まず、毎月をはじめとして支払いをどうするかというもの。税金や料金の支払いを概観してみると自分の生活をほぼ二重化するようにして対応する必要があることが分かります。
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固定資産税 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
自治会総会 | ○ | |||||||||||
電気 | ||||||||||||
ガス | ||||||||||||
上水道 | ||||||||||||
浄化槽 法定点検 | ○ |
○: 固定資産税は口座から実際に引き落とされる支払日 / 自治会費支払 / 浄化槽の管理年間契約に伴う契約料 の各支払い
電気+水道+ガス: 私の実家の場合には、
- 母屋床下の通気を維持し湿気を防ぐための換気扇が常時通電タイプだったこと
- 地域性から、戸別に浄化槽を備えていたため、その循環ポンプが常時通電タイプだったこと
- 屋外に設置した風呂用湯沸かし器が、特に冬季の凍結防止機能などを備えていて、温度センサーが常時通電タイプだったこと
といった必要から、電気料金が基本料金+アルファでしたが、水道・ガスはそれぞれ基本料金で済んでいました。
当然のことながら、相続と前後してそれぞれの所有を自分名義に書き換え、支払いを口座からの自動引き落としに切り替える手続きが必要になります。契約者 ― 父親か母親 - が亡くなったことを伝え、名義変更の手続きをしたい旨、それぞれの管理会社に連絡を取ることになります。
もし、不幸にして両親が亡くなり、相続に対応しなくてはいけない立場であったなら、両親名義の銀行口座をどうするかということも手続きを必要とします。両親が亡くなるのとほぼ同時に口座が凍結されるような、高額の資産がある場合にはさらに注意が必要ですが・・・。(口座名義の書き換えについては預金口座の相続へどうぞ)
契約者(名義) 変更 |
口座変更 自分へ |
口座解約 両親分 |
契約解除 | |
電気 | ||||
ガス | ||||
水道 | ||||
電話 | ||||
新聞 | ||||
下水道・浄化槽の管理 |
ライフラインを中心とした契約&支払いの切り替えチェックリスト
(契約者(名義)変更はサービス会社へ / 支払い用銀行口座の変更は当然、各銀行へ)
実家不動産をどう相続するか・管理するかでそのライフラインの扱いが決まると考えていた私は、各ライフラインの相続手続き(名義書き換え)を優先し、すべての手続きが完了するタイミングに合わせて、両親が料金支払いに使っていた銀行口座を解約するという手順を取りました。
その逆となると、各ライフラインの支払い決済のタイミングが来るごとに、電気が止まり、水道、ガスが止まり・・・という事態になるからです。ライフラインの停止は、日常的な実家母屋や庭の管理に大きな支障がでます。
相続手続きと日常的な管理のタイミング
ライフラインの金銭的な管理に必要な手続き - 名義書き換え、口座切り替え - に要した時間はおよそ3ヶ月。現役のサラリーマンとして使える土日をすべて使ったペースでしたが、名義・銀行口座の書き換えは原則、相続人本人、口座名義人本人が行うものと思っておいた方が良いように思います。代理人を立てた申請が可能なものもありますが、銀行届け出印の確認さえ、家族が身分証明書を持って申請に行っても受け付けてはもらえなくなっていますから。
なぜライフラインの維持が優先だったのか、それは、電気・水道・ガス、台所から浄化槽までの排水管でさえ、日常的に使わなくなったとたんに、配管の劣化が進んでしまうからです。
私の実家の場合には、両親の入院で母屋を連続して使わない期間が発生するということが何度かあり、安全のためのガス以外、電気も水道も元栓を止めるということをやったのですが、流れる排水の量が減った排水管には臭いの問題が、圧力の変化についてこれなくなった台所の水道の蛇口、洗濯機と水道のつなぎ、給湯器への給水管、台所で使う湯沸かし器と、相次いで漏れたり、破れたりということを繰り返しました。
築40年ということがネックだったかも知れませんが、水道の蛇口も、洗濯機も給湯器も湯沸かし器も、それぞれの器具自体は、取り替えて1年、2年長くても4年という新しいものばかりだったにも関わらずです。
また私の実家の場合、70坪前後の庭の管理も大きな懸案のひとつでした。定期的に雑草を取る管理は、実家に住んでいればもちろんですが、住んでいなければ、周囲の隣家への責任として不可欠の作業でしょう。雑草が多くなれば害虫が発生しやすくなり、風通しが悪くなれば庭木が病気なったり、さらに害虫を呼び寄せることになります。
ところが、夏場の除草作業は、1週間間を開けてしまえば、2週目には廃却処分しなくてはならない雑草の量が普段の2倍以上、ということになります。私はそれを自分の手と身体でやっていたのですが、多い時には70ℓの大型のごみ袋3つ、4つと処分する労力はそれは大変なものです。
ゴルフ場のコース管理の経験を駆使してもなかなか大変な庭の管理。お金を出して人手に任せるにしても、その料金をあまり節約しすぎて、作業が追い付かないということがないようにすることが必要なように思います。
かつての経験を活かし、私は父親が亡くなったあとすぐに、庭の主だった場所に地面を覆い、雑草の発生をおさえる遮光シートを張り巡らす作業を終えていました。初校シートを張り、その上に庭用にデザインされた玉砂利を引いて、雑草や害虫の発生を抑え、清潔感を確保したのです。
かかった費用は
- 遮光シート+固定ピン、約90m2(およそ30坪): 約3万円。
- 庭用玉砂利(母屋の周囲、玄関周りなど): 30cm2(10kg×30耐)
かかった時間は延べで約1ヶ月ほど。
そうした作業の甲斐あって、前の年まで悪戦苦闘していた除草の作業も、80%近く軽減できたのですが、それでも1週間に1回のペースで庭掃除+母屋の空気の入れ替えに通うには、ガソリン代と高速道路の料金で往復約3000円。食事や飲み物を確保する代金も含めながらのウィークエンド作業を進めたわけです。
簡単に、と思っても庭の清掃は1時間、2時間という時間がかかります。夏場であれば、汗もかきますし、着替えが必要です。風呂やシャワー、洗濯、そして掃除を終えた後に水を撒いて仕上げる。電気も水道、ガスもないというわけにはいかなかった理由がそこにありました。
To be continued…