さすが職人さんの道具 その2は 墨つぼ
やり直しが効かないのは墨付けも同じ?
けびきは金属の刃で木材に刻みを入れますし、墨つぼを使った墨付けもちょっと消して引き直 し⁉︎ ができるようには思えない作業。それだけに、墨差しやけびきを使う - 材料を測り採寸する作業 - 墨付けという作業も、のこぎりやのみを使うのと同じように、一回勝負で行っているのが分かります。
それは私たちアマチュアが、鉛筆片手に作業してもあまり変わりません。
- どういう寸法にするために
- 材料のどこをどのように加工するのか
その計算をしっかりして、「切る」「削る」道具の刃を正しく誘導するために引くのが墨線。そして、引き直しを前提にせずに作業していると思います。
みなさんは材料の木材に寸法の印をつけるとき、何を使っていますか?
距離の長い墨付けは墨つぼがお勧め
目指す作品が大きくなるほど、必要になる木材、部品のサイズも大きくなり、当然のことながら墨線の長さも長くなります。そのとき、さしがね1本では引ききれない長さの墨線を必要とするようになったら、墨つぼがお勧めです。
たとえば私が使っているさしがねは50cmまで測れ、1回で支障なく墨付けできる長さは約45cm。身の周りのもののイメージで言えば、一般的なサイズの襖やドア、畳の短い辺の幅の半分が50cmのさしがねで継ぎ足しなしに扱える長さのおおよその限界、それ以上になったら墨つぼでの墨付けを検討・・・と覚えておくといいだろうと思います。
写真で紹介する墨つぼは今、ホームセンターなどで買うことができる新しいデザインのもの。もともとのデザインは糸車が縦向きについたとても古風な形のもので、つぼと呼ばれる部分に蓋はなく、墨を含ませる真綿が外から見える構造だったようです(私もそういう旧型のもので覚えました)。
この新しいデザインの墨つぼのサイズは、つぼ糸とカルコを収めた状態で長さ15cmほど。手のひらに収まるか収まらないかのコンパクトなタイプのものです。通常のサイズは長さ25cmほどからそれ以上の、思ったより大きなものです。
今ホームセンターなどで買うことができる墨つぼの多くはここで紹介するコンパクトタイプのものと構造はほぼ同じ。
スライドカバーを開けたところに、スポンジが詰められています。そのスポンジが、リールから引き出されるつぼ糸を挟み込むようになっていて、つぼ糸に墨を含ませてくれるという構造です。
写真はおろしたての墨つぼですからつぼ糸はまだ白い状態ですね。
もともと本職の大工さんが使う道具だから当然と言えば当然なのかも知れませんが、必要な線があっと言う間に引けて拍子抜けするほど^^。
つぼ糸はカルコに結び付けられていますので、カルコの針を墨線の開始位置に刺し、本体側を墨線の終点に向かって引いてつぼ糸をぴんと張ります。
墨を含ませたスポンジを通ってくるつぼ糸は墨を含んで黒くなっていますので、うっかり触れないように。ほんの一滴でも、専用に売られている墨は濃く、粘りも強いので、しっかり汚れます!^^;
墨線の開始点、終点の間につぼ糸を張ったら、あとはその糸を材料に対して垂直にはじいてやればOK。見事に、くっきりとした一直線の墨線が引けます。
墨つぼはまさに納得の機能です!
MEMO:
墨つぼには、保護メガネをかけて使うよう注意書きがされています。カルコの針をしっかり刺すように注意することは当然ですが、注意書きを守り、保護メガネを着用するようにしましょう。