ショートハンマーで分かる金づちの使い方
腕っぷしがどれくらいたくましいか、手首の力がどれくらい強いかによって、その重さに対する感じ方も違ってくることは言うまでもないのですが^^…
金づちのヘッドの重さはおよそ 300g。それが10g、増えたり減ったりするだけで重い!! と感じたり、軽い!! と感じたりするの、知っていましたか?
ハンマーの重さの感覚=ヘッドの重さ - そのイメージはたぶん誰にとってもあまり変わらないだろうと思います。みなさんも自分用の金づちを選ぶときに手に持ってみていることでしょう。そうやって、ヘッドの重さの感じを確かめているでしょう。
普通、金づちと呼ばれるのは、長さ4cm前後の釘を打つ道具。道具としてのサイズはどんな製品を選んでもあまり大きく変わりませんね。
柄の長さは30cmよりちょっと長いくらいで、
ヘッドの大きさ(長さ)が、玄能のように両側でたたくタイプだと8cm前後。
ネイルハンマーと呼ばれるような、片側だけでたたくタイプだと12cm前後。
けれど、金づちの重さ - 重い・軽いの感じ - はヘッドだけではなく、
柄の長さや太さによっても変わるって、意識したことありましたか?
ショートハンマーってどんな道具?
私愛用の玄能とショートハンマーは、
ヘッドの重さはどちらも300g。長さはおよそ 2:1。ただし、
ヘッドの大きさ(長さ)では、スナップショットで見ても分かるように、8:12(cm) とショートハンマーの方が玄能の1.5倍の長さがあります。
柄の長さがほぼ半分ですから、ショートハンマーの方が軽く感じるだろうということはだいたい想像できますが、実際、釘に向かって振ってみると…
玄能のヘッド方が倍近く重く感じるのです。なぜでしょう?
α: 握っている手からヘッドまでの長さ
β: 前腕の長さ
としてみると、柄の長さ α が長い分、ヘッドが動く距離が長くなりますね。
同じ300gのヘッドだとしても、ヘッドが動く距離が長く、その分ヘッドの速度も速くなる*。要するに打撃力 - ぶつかったときの衝撃 - が大きくなるということですね。
この衝撃の大きさが、見た目や思っていたより重く感じた重さの正体です。
ショートハンマーを並べてみると柄の長さとたたく力の関係がイメージしやすいだろうと思います。
柄が短い=たたく力が小さい=ショートハンマーの使い方のヒント
MEMO:
*: ヘッドが動く距離、速さとたたく力の関係は、運動エネルギーに関係することですが、別のところで勉強してみると結構興味深いかもしれませんね^^
α の長さが約半分ですから、(このケースの)玄能と同じ力でたたきたいと思えば、β の長さを加えてヘッドが動く距離・速さを玄能のときと同じようにしなければならないということになるのです。
たたく力が弱いとすればショートハンマーはどんな場面で役に立つのでしょう?
ここまで確認してきたことをまとめてみると…
- ヘッドの重さがほぼ同じ。けれど
- 柄の長い玄能の方が動く距離が長く・速いのでたたく力が大きくなる。そして
- ショートハンマーの柄の重さはおよそ半分
そしてここに、ショートハンマーがどう役に立つかというヒントがあります。
- 柄の短いショートハンマーの方が動く距離が短く・遅くなるのでたたく力が小さい。しかし
- 柄の重さがおよそ半分のショートハンマーの軽さを活かして
- ほぼ同じ重さのヘッドを短く・ゆっくり動かせる
そう考えてみてください。そして、このヒントを逆に考えてみてください。
- ヘッドを大きく動かせない場所で
- ヘッドの重さを活かしたたたき方をする
- たたく力が出しにくい分、細く短い釘を相手にすればよい!
それがショートハンマーの使い方のヒントです。
特に、柄の長いタイプの金づちが使いにくい場所で使う場合には、スナップショットに示した β をあまりきかせないような使い方になるでしょう。
β、つまり前腕を動かそうとするほど、ヘッドがぶれやすくなりますから注意してください。
これは実は、スナップを利かせたたたき方を覚えるには大切なことです。
そして、ヘッドの重さを活かしてたたける釘のサイズを覚えるという点でも。
たたく力があまり強くはないということを忘れずに使えれば、手首にかかる衝撃が小さいですから、女性など手首の力が弱い人にはお勧めの道具のように思います。
DIYのシチュエーションと相談しながら、ショートハンマーをうまく使いこなしてください^^