何を頼りに病院と受診科を選んでいるだろう
風邪をひいたかなというときは内科、虫歯を治してもらいたければ歯科、腫れものやかぶれを見てもらうときは皮膚科でしょうか?
どこか体の具合が悪くなったようた時、私たちはほとんどの場合、自分で体の具合を考えて、この症状ならこの科に行けばいいのかな? とあたりをつけて利用していると思うのですが、私たちはいつからこうして受診する科を自分で判断できるようになっていたのでしょう⁇ それがちょっと不思議です。
誰かに教わったり、説明してもらったような記憶がないのです。
今さら説明なんかいらないだろうと言われそうですが、インフォームド・コンセントを考える記事で書いたことがありますが、何をどの科の医師に聞くべきなのかがよく分からなくなるような経験*があるので、こんなことを思うという面もあるでしょうか。
*: がんの宣告を受け、そのがんを切除することを勧められ、手術を受けた母に付き添っていた時の経験です。
手術のあと数ヶ月して、術後の回復に役立つようなアドバイスを受けられないだろうかと診察、診断、手術をしてくれていた主治医に相談しようとしてみたところ、その手の話しや判断が必要ならかかりつけの町医者にでも相談してくれ、それはここの仕事ではないと言われた経験をさしています。
どんな時にどの病院のどの科の助けを求めるのか、よく考えてみると、親に連れられ親がしていたことを見て覚えてきた - それが医療との付き合い方のような気がするのですが、たとえば、
同じ花粉症と思われる症状で内科を受診したとき、この症状が出ているときには耳鼻科を受診してもらうのもいいと思いますよ
というようなアドバイスをもらったり、尋ねたりということもないように思います。
私たち患者は今の具合の悪さを早くなんとかしてほしいと思ってその科を頼るでしょうし、医師の方も自分のところで解決してやろうと思ってくれているということなのでしょうか?
取り立てて言うようなものではないかも知れませんが、私がこんな疑問を持ったのは、私が普段何気なく頼っているのが総合診療をうたった病院だと言うことを意識することがあったからです。
同時に多角的な診察と診断 - それが総合診療だとしたら
喉に痛みがあって微熱があったその日、朝起きて測った体温は36.8°。その体温が、食事をしながら様子を見ようかと言っているうち38°を超え、診察を求めた病院の受け付けでもう一度測ってみると39.6°に。この時点で私の頭に浮かんだのは、「私は何科を受診すればよいのだろう」 「いつものこの病院で診てもらえる症状なのだろうか」ということでした。
まず感染性の症状でないかどうかを確認するためインフルエンザの検査にはじまり、血液検査、尿検査、腎臓を対象にCTを撮り、さらに日をあらためて胆のうを対象にMRIを撮って原因がどこにあるかを探してもらったのでした。抗生物質と解熱剤を中心に薬を処方してもらいながらの約1週間をかけた治療と検査でしたが、結局これと特定できる原因を突きとめることができないうちに症状は改善していました。
アレルギー性の喘息を持っている私は喘息の症状も出ていましたし、背中の左右、骨盤の上あたりに重だるい痛みもあって、そうしたいくつかの検査をしてもらったのでしたが、急速に悪化した症状は急速に改善し、推測して出された診断は胆管炎、あるいは胆のう炎に近い症状ではなかったかというものでした。
大きな総合病院、それも私がイメージしているこれまで通っていたようなシステムの病院だったとすれば、内科や循環器科、あるいは泌尿器科とそれぞれの科の診察、診断を仰ぐことになったのだろうか - もしそうだとすると、それぞれの診断結果を横断的に確認してもらうのは内科に戻るのだろうか、あるいはひとつの科の診断、処方の結果が出てから次の科へ行くことになるのだろうか、そんなことを考えたのです。
総合診療科が増えてきているということが新聞に書かれているのを読んだことがありますが、それほど新しいことなのでしょうか? 受付で「私は何科を受診すればよいでしょう?」 と聞かなくても良いらしいとなれば、これまでとは違った意味での安心があるような気がします。
いや、どちらがいいとかいうことは素人の私には分かりません。ただ、総合診療をうたういまの病院を頼っていくとすれば、少なくとも私には診察の中身が分かりやすく、自分と病気の間も分かりやすいように感じました。そして何より、「自分は今、何の診察を受けているのだろう」という認識が必要になる、そう思うのです。