母を支えてくれた介護保険

介護認定を待つことが生きる力になった

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母の最初の介護認定は余命宣告を受けた直後でした。
転移した腎臓がんに対する分子標的薬の投与を始め、副作用は大変なのだろうか、がんに対する効き目は現れてくれるのだろうかと、文字通り不安と期待の両方をかかえて余命3か月に向かおうとしていた時です。

その最初の介護申請をした母は、通院で投薬を受けながら、自宅(実家)で自分なりに暮らすんだと言いながら、自分なりの準備をしていました。

  • 緊急時、救急車を呼ばなければいけない事態にもボタン1つで連絡できるように*
  • 緊急隊員に自分についてと自分の意思を伝えられるように*
  • 介護サービスで入浴させてもらうときに困らないスペースを家の中に確保したり
  • 介護サービスに来てくれる看護師さんの指示に従って、タオルや洗面器、プラスチックのバケツを買ったり
    と。

MEMO:
*: これらは、母が暮らしていた町の高齢者福祉を担当する部署がサポートしてくれるサービスでした。

そのほか、自宅のお隣さんには、そんな緊急のときのための準備や契約をしている、可能なときには頼らせてもらいたいと頼んだりもしていたのです。

ただ残念なことに、母はこの介護サービスを利用することはできませんでした。
明日からサービスに来てもらうんだよと言っていた日に入院をしなくてはならなくなり、そのまま自宅に帰ることができなくなったからです。

nursing care insurance can support us
(c) Can Stock Photo / pressmaster
医療と看護の間に溝はあるけれど

それでも、病気に対する不安と背中合わせだったとはいえ、介護サービスに来てもらえるということが、母の気持ちを明るく、前向きにしてくれていたのは確かなことでした。

認定を待つ間も看護センターでは主治医との連絡を取り、母の病状に対して何が必要か、どんな連絡を取り合えばいいかなど必要な準備を進めてくれていました。

医療行為は医師、介護は介護師と責任範囲がはっきり分かれていますから、がん患者の母は医療と連携しながら介護と看護をカバーしてくれる介護センターの支援を求めたのでした。

申請に必要な手続きの手順を理解することがむずかしくなっていた母にも、医師と看護師、そして介護という支援が自分を支えてくれる - そのことはよく理解できているようでした。そして何より、そうした人たちとの結びつきが母の気持ちを支えてくれていたのです

思えば、父とは対照的に、人づき合いに器用だったということも、母自身を支えてくれた大切な宝だったのかも知れません

認定を待ちながらでも進めたいがん患者の準備

介護申請から認定証を受け取るまでおよそ30日 - その時間のかかり方が問題で、がん患者の場合には認定を待つ間に他界される方が少なくなかったとか。母が介護認定を申請しようとしたのは、まだ、そんな問題に対する改善が完全には終わっていない頃でした。

今、その改善はどこまで進んだでしょう。

母の介護認定の見直しを申請したいと思うころ、折に触れて耳にしたのがそんな介護制度の問題についての話しでした。それでも、治療はもうできないと診断されホスピスに移った直後に2度目の介護認定を求めたのです。2度目の介護認定の判断をしてくれたのは、母でも私たち子どもでもなく、ホスピスのケアマネジャーでした。

ホスピスに入ってから亡くなるまで1か月半でしたから、それまでの介護認定であれば間に合わなかったのだろうと思います。しかし、ホスピス入所から2週間を待たずに新しい介護認定がおり、ホスピスで利用したもの - ベッド、車いす、テーブル、入浴もおむつの世話も - すべてを介護保険を適用できる限界まで適用して支えてもらうことができたのです。

介護保険の存在意義とは

腹水と疼痛でベッドから起き上がれない状態になる直前、認定されたのは要介護3。
そのレベルは低いにこしたことはないのですが、そのレベルの高い低いではなく、介護保険には確かに存在意義がある - そう感じたのを覚えています。

制度として、システムとして、手順として今の介護保険の制度が完璧だとは思いません。母がよく理解できたものだと思ったくらいですから、「医療」「介護」「看護」とその仕組みや関係はあまりに複雑です。

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複雑ということは、それだけ私たちが求めることが多いということ。求めることが多くなるほど責任の所在も置く場所が多くなる。当然、手続きは複雑に、分かりにくくなり、透明度が悪くなります。けれどその制度を最大限に活かして要介護・要支援の人を助けようとしてくれる人たちをはっきりと感じることができただけで介護保険を担う者としての意識が救われる - そう思ったのです。

別の言い方をすれば、介護に向き合わなければならないとなったら、決して一人で抱え込んではいけないということなのです。

to be continued …

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