私の場合
健康に、普通に過ごせるのならば、そして年齢の順でいうのなら私が先だろう - そんなことを思いながら妻に「あとを託す」という発想で、できる準備をシミュレーションしはじめてみると、その内容は思っているよりも - あるいは自分はよくうまく通り過ぎてきたものだと思うくらい - 複雑だということが分かります。
私が両親が残した実家不動産を相続し、売却への手続きを取ったとき、土地・家屋の両方に抵当権が設定されていました。そのため、私は相続登記のあとに抵当権抹消登記をするという2段構えの申請を必要としました。
ただ、その2段構えの申請以外、相続に絡んで複雑なことを求められることはありませんでした。
- 不動産そのものの評価額がとても低く、固定資産税として年間に支払っている額もごく少額、
- 登録免許税 = 固定資産税評価額(その1000円未満を切り捨て)× 4/1000 も本当にこんな少額なものなのかと思うほど微々たるもの
- 兄妹が2人いますが無人となった実家の維持やその後をどうするかについては私に一任するとしてくれたことで、遺産分割協議書の作成もスムーズでした
不動産の相続そのものを私一人に集中することで売買契約、あるいはその以前、購入者を探してもらうために不動産業者と取る契約も私の判断で進めることができるというメリットを活かすことができました。
相続したその次を考える
今住んでいる家の不動産を私から妻へ相続するとした場合、共同名義の私の持ち分を妻と子どもに法定相続*1することを考えるのがはじめの1歩です。
MEMO:
*1: 民法は相続人とはだれか、そして各相続人は遺産に対してどれくらいの権利を持っているのかを定めています。その規定に沿って相続することです。
不動産の相続登記 - メリット&デメリット
そもそも不動産の相続登記を行うべきなのか、それは素人ながらも確認をしておく必要があるだろうと思っています。
相続登記をするということは、その不動産に対する所有権を明確にするというです。
相続登記はいつを起算日としていつまでに行わなければならないという期限付きのものではありません。
妻がいて子どもがいれば、この自宅不動産に対する権利は妻と子どもに受け渡すことができますが、登記をしないことには、その権利を法的に守ることができないのです。
何らかの災害で自宅に住めないというようなことが起こったとしたら、賠償や救済を求めたり受けたりすることができるとしても、自分の権利を示すために求められるのはたぶん登記簿謄本です。身分証明書としてたとえば運転免許証、健康保険証、あるいはパスポートを示すのと同じように、不動産に対する権利を証明するために(相続)登記が必要なのです。
「自家用車を所有し、そのクルマを運転するために法定の自賠責保険だけでなく、任意の保険に加入しておく」 - その危機管理に近い感覚で行うのが不動産の相続登記、そんなふうに言えるかも知れません。
私から妻と子どもへ受け渡された所有権は、長い将来さらに所有権を子どもへ受け渡したいと思う日が来るかも知れない - もちろん、権利だけではなく、登記情報とは別のところで管理責任に対応しなくてはならいのは言うまでもありません。そうした社会性を引き継ぐことが相続なのです。
特に今、妻への相続をシミュレートする中で私が確認しているのは、そのことなのかも知れません。
権利と責任 - それは両親からの相続に対応しながら感じたこと、覚えたことでした。
額の高い低いではなくて、法定相続人(妻と子ども)が求められる(あるいは法定相続人が果たすべき)責任を認識しておくことが後々の家族の穏やかな生活につながるはずと思っています。