定着してきた葬儀の生前予約というサービス
自分のもしもの時に備えるということができるとしても、葬儀ばかりは自分で何かをやっておくということができるとは思えないのが葬儀のことではないかと思いますが、今ではすっかり定着したとも言われている葬儀の生前予約というサービス。どんなものかご存知でしょうか?
新型コロナウィルスの混乱を1年2年と経験してきた後で、葬儀の基準が劇的に変わっている感じがしているのですが、どうでしょう? 葬儀や葬儀の周りの話しも「集まる」ことができなくなった分、変化していると思うのですが。
葬儀は、家族を亡くした傷心の中で、準備はもちろん経済的な負担とともに手早く進めなければならないのが普通です。死亡届け、埋葬許可書の確認や作成、あるいは提出、葬儀給付金の申請などの手続きを抜きにしては進めることができないのが葬儀 - 葬儀として弔問に来てくれた人たちのための準備や挨拶などまで考えるとなれば、遺族は静かな気持ちで過ごすことができないと言っても過言ではないでしょう。
それが葬儀というものだ、日本の社会人であればその負担に耐えなければいけない - そんな意見も聞こえてきそうですが、亡くなってもなお家族のためにできることがあるとしたら、考えてみたい - 葬儀の生前予約にそんな可能性を感じるのです。
家族と一緒のプランとして進めることができたなら
どのように葬儀をあげるかや供養を自分の意思にそって行ってもらえるように、あるいは、残された遺族に負担をかけないようにと動機はさまざまでしょうが、生前のうちに自分の葬儀、埋葬、供養について、内容と費用、その支払い方、埋葬場所(墓地)を決めておく - それが生前予約です。
それこそ『おひとりさまの最期』(上野千鶴子 著)を具体的に実現するひとつの手段のようにも感じるのですが、上手に利用することはできるものでしょうか。
少なくとも、葬儀の準備を自分でしたいと考えるとしたら、あるいはしたとしたら、そして家族がいてその内容を理解しておこうと考えてくれるとしたら、やはりエンディングノートに記録したり話しをしたりしておくことが、必要になるでしょう。
- 葬儀はどんな宗教に基づいて行うのか
- 戒名
- 納棺、火葬
- 初七日、四十九日の供養
- 一周忌、三回忌、年忌法要
- 葬儀の進め方
- 喪主や準備を担ってほしいと思う人
- 供花
- その費用
など
メリットとむずかしさを十分に認識して
生前に時間をかけて進めることができる分、自分の思いを反映しやすいのが葬儀の生前予約のメリットと言われますが、通常は契約からその契約を履行してもらうまで時間が空くことがあるでしょうから、その間に契約をした会社が倒産などということがないとも限らない - そのくらい厳しい見方で検討を進めていく必要があります。
そして何より、葬儀は生前に話すことではないだろうという抵抗を感じる人も少なくないという配慮を欠かしてはいけないということ。 身近に家族がいて、その家族のために準備しようと思ったとすればその時こそ、家族の気持ちを置き去りにして話しを進めてしまうことは避けるべきでしょう。経済的にも精神面でも残される家族を助けることができるかも知れないサービスですが、葬儀には、残された遺族が「亡くなった人のためにと考えながら進める遺族による儀式」という面があることを忘れてはいけないのです。
生前予約の上手な使い方 - もし、身近な家族のためにと選ぶのだとしたら、その家族といっしょに考えることができたら、本当の意味で経済的にも精神的にも家族を守れる - そう考えたいと思います。
- 葬儀の時の服装や、弔問に来てくれた人をどう迎えもてなすか
- どんな花を使うか
- どんな音楽を使いたいか
- 香典をいただくのか、辞退するのか
- いただくとすればお返しをどうするのか
いざ考えようとすれば、準備すべき項目の多いことに驚くはずです。
自分だけであれば「贅沢を言わない、簡素でいい」と思うことも、礼を尽くしてこそ伝わる - そうした思いやりの中で準備できるかどうか。そんな、自分を見つめ直す時間を持つという意味でも生前予約は役に立つのかも知れません。