アナログのレコード、デジタルのパソコン
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かつてのオーディオ・コンポーネントは音響のために開発されていた? のに対して、パソコンの回路の目的はまったく違うはず。だから、思い入れのあるレコードを再生してみたいと思うなら、ターンテーブルでピックアップした音源をパソコンに受けさせるのは誤りかも知れない - そう思いながらもあえて、USBのインターフェースを持ったレコードプレーヤーを選ぶ理由はどこにあるでしょう?
ひとつにはやはり、親しんだサウンドを日常的に身近にあって再生機能もあるパソコンというインターフェースに保存し、折に触れては再生することができないだろうかという思いがあるからでしょう。アナログのサウンドの再生という目的を持つとすれば、この時点ですでに行く先を間違えているということになってしまうかも知れませんが。
ポータブルUSBレコードプレーヤー
最初に選んだのは、ごく手軽と思われるところから、縦 105mm × 横 275mm × 高さ 85mm、重さはわずかに650gというLIVING STYLEポータブルUSBレコードプレーヤー。
- Windowsに付属のCD-ROMからRecordMateLPというソフトウェアをインストールし、
- プレーヤー本体の底面にあるPOWER OptionsスイッチをUSBに切り替え、
- 付属のUSB接続ケーブルを使ってプレーヤーをPCのUSBポートに接続する
あとは - プレーヤー本体のカバーを開け
- アームをストッパーに固定(ストッパーがターンテーブルの回転スイッチになっています)
- 回転数を選んで
- POWER(電源)スイッチをONにすればスタンバイOKです
ソフトウェアのRecordMateLPを立ち上げておけば、再生と同時にデジタル・データとしての記録(録音と言うべきでしょうか?)が始められます。
- WAV
- MP3
- WMA
の3種類。iPhoneへ取り込んでみることを前提にするのであれば、デフォルトのMP3のままでよいでしょう。スピーカーの電源を入れて針をレコード盤面へ。再生をスタートさせればパソコンが目指す再生器になります。
よほどの不具合がなければ、プレーヤーのパッケージを開けてからこの間わずかに20分ほどの手軽さです。
再生の主役は音源ボードとイコライザー機能を持ったソフトウェア
レコードからのピックアップをパソコンにつながっているスピーカーに出力することは難なくできました。標準セットのパソコンも性能、装備がずいぶん高くなったものだと感じますが、
- レコードからのサウンドをスピーカーに出力しながら、あるいは
- MP3に保存した音源ファイルを再生しながら
音質を好みに合わせて調整するとすれば、
- 音源ボードの特性を知って
- 音質操作機能を持ったソフトウェアを用意して、そして何より
- スピーカーを選んで
というあたりが基本になるように思いますが、はたして何を目指して、どこまでこだわることができるでしょうか。
iPhoneで蘇ったレコードのサウンド
最初のトライアルはMP3に変換し、音源ファイルとして保存したデータをiTuneを経由してiPhoneに取り込み、再生に成功しました。トライアルに使ったレコードは1984年版GHOSTBUSTERS。
普段、音質調整に使っているアプリはSoundFocusですが、
- LIVING STYLEポータブルUSBレコードプレーヤー
- RecordMakeLP
- iTune
- SoundFocus
のノスタルジック・リレーは「アナログのレコードという音源をデジタルの環境につないで再生、保存する」「デバイスを超えてさらに再生する」という点で成功! と言えると思います。
LIVING STYLEポータブルUSBレコードプレーヤー
ところが、LIVING STYLEポータブルUSBレコードプレーヤーのピックアップ自体に問題を感じます。それは、ピッチが高すぎるということ。たぶん、みなさんの耳にも異論はないのではないかと思いますが、デジタルの環境につないで再生することを前提にしたインターフェースのプレーヤーですから、再生用のソフトウェアにはピッチコントロールの機能が必要になるでしょう。
はたして何を目指して、どこまでこだわることができるか - LIVING STYLEポータブルUSBレコードプレーヤーの良さは手軽さにあると思います。もとの音質がどんなものだったかというような微細なこだわりがなければ、とても簡単に導入できるだろうと思います。一方、こだわりの耳の期待に応えるにはソフトウェア探しという、次のステップが必要になるでしょう。
つづく