『刺繍枠』 を作る その④
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材料 &構造 ・加工方法 - その2
木工では一般的に、絵画のように習作を重ねるなどということはまずないことだろうと思います。切ったり、削ったりという加工にやり直しということも聞きませんから、設計図の状態、イメージの中で十分なシミュレーション - 材料や仕上がりのサイズ、加工方法の関係を確認する作業 - が行われていることが必要です。
そして、これまで確認してきたように、材料についての基本的な知識、加工方法についての知識があるほどにシミュレーションの精度は高くなりますし、木工そのものを失敗なく、楽しんで進められます。
試作品を作ってデザインを確認する - シミュレーションの実際

今回作ろうとするのは刺繍枠。構造も使い方もイマイチ、はっきりとイメージしにくいので、枠の部分を試作して構造を確認することにしました。
構造 - 特に、布とその布を固定する部品の位置関係、固定の方法が分からない。言ってみれば、作ろうとする物の一番肝心要の部分がイメージできていないのでは話にならないので、枠の部分を形にしてみて、布と枠の位置関係を確認しようとしたのです。
平面 & 立面

枠と布の関係以上に確認しなくてはならなかったのが、布をどう固定するか。四角の構造にして4辺を直線の固定用パーツで固定する構造が一番簡単なように思うのですが、枠に固定用パーツを固定する方法が問題です。

通しボルトのようなもので絞めつけて固定しようとしても、通し穴は布越しに開けなければなりません。絵を描くキャンバスを張るのならばそれでいいとしても、布の位置を変えながら使うためには、その構造は取れません。

布を傷つけないように固定しようとすれば、固定用パーツのある・ないに関わらず、枠と布(必要なら固定用パーツを含め)を外から挟み込むクランプのようなツールを使うことが考えられますが、4辺×2か所=8個 のクランプが必要になりますし、サイズと強度に見合ったクランプは調達できそうにありません。
1号作品 - デザイン&シミュレーションの結果を確認
布のサイズに合わせようとすると市販ではなかなかこんな大きさの枠は手に入らないと思われる大型のデザインになりました。またそれに影響されて、枠と固定用パーツで布を固定しようとする構造も大がかりなものになってしまいそうです。

ともあれ、試作品の枠を使って確認、検討した結果をもとに枠と固定用パーツの形状を変えて作品1号にしてみました。
枠[B] の外側 = 布の幅の外側に通しボルトを通して蝶ナットで締めることで固定用パーツを枠に固定します。
布は固定用パーツ[A] と枠の間に挟み込んで固定しようという構造です。
これで完成! といかないのは、
- 固定用パーツ[A] の固定がうまくいくかどうか、そして
- 枠[B] の位置の布の固定をどうするか
という2点の検証がさらに必要だからです。
- 固定用パーツ[A] は太さ(細さ)に比較して長尺になった分、布を挟み込み両端で締め付けることで中央がたわんで緩む心配がある、そして
- 枠[B] の位置の布の固定は、固定用パーツ[A] と同じ水平方向に締め付けることが出来そうもない
という問題に解決法を考え出さなくてはなりません。
その解決策を見つけてから、材料のサイズ、仕上がりのサイズへと決めてゆき、実際の加工にかかりたいと思います。
まずは実際に布をかけ、固定してみて使用感を確認するところからです。
to be continued…