『刺繍枠』 を作る その②
使い方、サイズ、材料 & 加工方法
使い方から考えるデザイン
物作りはどんな物でもデザインからはじまります。木工もその例外ではありません。
Step by Step の流れは大きく分けると
使い方+構造の確認 → 材料を決め → サイズを決めて(墨付け) →
加工+組み立て → 仕上げ
その流れを確認しながら目的に合わせた物を作るために、その第1ステップ、デザインの続きです。
今回目的とする作品の刺繍枠の使い方、構造をあらためて確認してみると
- 何より最初に必要なことは
市販で手に入る刺繍枠より大きく、厚い布を張れること - その上で、刺繍枠に必要な基本の機能を備えていたいのですから
押さえておきたい構造は- 刺繍する布をたるみなく、布を傷つけないように張れること、
- その布を張る作業は、布の必要な場所に移しながら繰り返し行うことから、あまり複雑な方法でないことが望ましく
- 重さもできる限り軽くしたい
そして、その使い方の要素に工作する自分の技量や手に入る材料を合わせてみると
- 直線加工できるように材料は通常の角材
- 張りたい布のサイズは横100cm×縦40cm、厚さは通常の約1.5倍
- 通常の刺繍枠のサイズ(厚さ3~5mm×幅10mm前後)に迫る薄さ、軽さは無理としても、材料はできる限り細く、軽くしたい
そんな条件になりました。
構造はいたって簡単。 1. 布を乗せ |
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2. 布を張りながら押さえる |
デザインから材料を決める
今回の刺繍枠の材料を決めるための条件は何より軽さ、その次に加工のしやすさですが、デザインの点から確認すると、木材の性質は意外と重要な要素です。
木材について、私たち初心者のカーペンターがまず覚えておくべきことは、より硬い材質のものほど重く、加工はむずかしくなり、より柔らかなものほど軽く、加工がしやすいということです。そして、加工しやすい = 切りやすい・削りやすい = 傷つきやすい・変形しやすい ということも覚えておきましょう。
それぞれの木ごとにも注意すべき性質がありますが、まずは基本からです。また、切る・削るという加工の点からだけでなく、色も木工のデザインには大切な要素ですが、木の色については仕上げに関連して別の機会に確認しましょう。
みなさんの近隣のホームセンターではどんな種類の木材を扱っているでしょうか。今回検討した候補の木材はラワン、パイン、スギ、ヒノキの4種類。布を挟む面を45cm×45cmと想定して、1辺20mmと18mmの角材で重さを比べて候補を絞り込みました。1辺18mmのヒノキ材です。
4種類の木材からなぜヒノキ材を選んだのか - この次には、目指した加工方法と材質の関係をまとめてみましょう。
木工とデザイン - 第3ステップは木材と構造・工法を考える へつづく