額縁の組み立ての仕上げに使うならベルトクランプがお勧め!
ドイツにはクランプを作り続けて100年という老舗のクランプ屋さん?^^ があるようですが、ベルトクランプというツールはどれくらい前からあるものでしょうか。
100年前と言えば1910年代、日本では大正時代の初め。日本で両刃ののこぎりが普及しはじめたのが大正時代だと説明している文献もありますが、今私たちがホームセンターで目にするようなクランプなるツールが当時からあったとはちょっと想像しにくいですね。
100年と言わずとも、クランプが使えるようになる前の時代、特に建具や家具、細工物を扱う職人さんは組み立て - それも、とめつぎによる額縁や箱をどうやって組み立てたのだろうと思います。きっと何か特殊な構造の、かしめて固定する専用の治具のようなものを使っていたのでしょうね。
私たちには木工用接着剤というものがありますが、その接着剤が使えるようになる前は、私の記憶にかすかに残っている「膠(にかわ)」を使っていたはず。今にかわを使って仕事をしている職人さんはどんなものを作る人たちなのだろうと思ったりもします。私には大工の棟梁をやっている親戚がいましたが、にかわの使い方のむずかしさを解説してくれたときの話しを思い出します。
ベルトクランプは額縁や箱、あるいはトレーなども含まれるでしょうか、4辺の部品を作り、その部品を接合するときに使う道具です。ベルトをループ状にして締め付け固定する道具ですから、たとえば、4本の足を下からではなく側面から取り付けるような構造の椅子やチェストの足の接合などにも使えますね。
私が使っているクランプの中にラチェット式のベルトクランプがあります。
最大外周5mまでのものに使用できると説明されていますから、四角いテーブルのようなものであれば1.25m四方のものまでかけられるベルトだということ。襖や畳の短い方が約90cmですから、かなりの大きさまで使えることになりますね。

- ベルトのねじれと巻き取りの回転方向に気をつけながらハンドルにベルトを通し
- さらに付属している4つのコーナーパッドにベルトを通してから
- コーナーパッドを作品の四隅にかけたら
- ラチェットハンドルを使ってベルトを締めていきます
4本の部品を均等に締め付けて固定するというのは実はむずかしい作業です。ハタガネのように2点を1つで締め付ける構造のツールであれば左右上下4本を用意して、しかも4本それぞれのバランスを取りながら締め付けていくといった手順が必要です。
4本の部品の接合の仕方に気をつけながらという点は変わりませんが、4点(それぞれ左右と考えれば正確には8点)を同時に、しかも4本の部品の位置関係を調整しながら締められるという点がベルトクランプの一番の使い勝手です。上の写真を見て想像できるかと思いますが、四隅にちぎり(ビスケット)をかませながら接合しようとする構造の作品にベルトクランプは向きません。ちぎりをかませる場合には、クランプを使った四隅の接合のあとにちぎりをかませるという2段階の工作が必要です。
このラチェットハンドルのタイプはその締め付け作業が楽ですが、「ベルトのねじれと巻き取りの回転方向に気をつけながらハンドルにベルトを通す」作業に注意しなくてはなりません。
- ベルトを緩めるときにはどのように巻き取っているかがキーですし、
- ラチェットを緩める構造と手順に慣れが必要だろうと思います
平とめつぎで作る額縁や大とめつぎで作る箱やトレーなど、とめつぎで組み立てる作品に限ったことではないのですが、枠型、箱型の作品はできあがった部品の接着にクランプがいくつあっても足りないと思うくらい、組み立てにも手順と工夫が必要です。
できあがりの外観がきれいなとめつぎは、45°にカットするのも、その接合面を仕上げるのもむずかしい加工方法ですが、クランプの種類や使い方、それに合わせた加工手順を確認し、十分に準備して挑戦しましょう。