健康でいるうちに、健康のありがたさを知ろう
“自分の体のことは自分が一番よく分かっていると思うか?” と聞かれたとしても、”分かっているようで分かっていなかったな” と言わざるを得ないような症状に心当たりがあるとしたら、自分の体の変化に少し気を配ってやる時期かも知れません。
私はサラリーマン生活を送っていますから、年に一度、健康診断を受けます。思えばその検査で、要注意とか要再検査とかずいぶん色々と指摘されてきました。
- 肝血管腫
- 間欠性外斜視
- 飛蚊症
- 前立腺肥大 or 前立腺がん
- 食道憩室
外斜視に至っては、要精密検査の結果、視力の低下の原因を少しでもはっきりさせたいからということで脳外科でのMRI検査まで進められたほどでした。飛蚊症は網膜剥離の前兆という面も持っていると言われていますから、たぶん私の眼底検査のインターバルは一般の人より短いのではないかと思います。
前立腺マーカーの上がったり下がったりだけではがんとも肥大の症状ともすぐには区別がつかない、ということを学びました。肝血管腫のMRIの診断には、造影剤を使った方がより精度が高いということも、私のように抗アレルギー剤を常用している場合にはその造影剤が使えないことがあるということも学びました。
どの要再検査も普段の生活に支障はなく、薬のお世話になっているのは1つだけ。そうやってあちらこちらにチェック項目をもって過ごしていますからいい加減、自分の体の中の方まで意識がいっているなと思ったりもします。
ただそれにも関わらず、そうしたチェック項目とは別に “寄る年波” なんていうものもあるのですね。
一病息災
数カ月前から胸の痛みを感じていた。
きっと誰かに恋をしたのだろうと思っていたが、よく考えてみればその「誰か」に心当たりはなかった。
ところが夏もたけなわになると、この痛みが尋常ではなくなった。背中からふいに抱きしめられる感じである。それも好きな人がやさしく抱き寄せてくれるのではなく、ひどくデーモニッシュな力で、ググッと羽交い締めにされるかのようであった。
(中略)
そこで歯医者に行くついでに内科にも寄ってみたところ、まことに思いがけなくもアッサリと、「狭心症」の診断が下った。たいそう典型的な症状であり、なおかつ心電図にそう書いてあるのだから仕方がない。
医師の診断を信じぬわけではないが、全然ピンとこなかった。なにしろ風邪ひとつひかない健康優良オヤジである。心臓には毛が生えているはずであった。
出典:浅田次郎氏 著・「アイム・ファイン! (小学館文庫 あ 18-2)」
そうして浅田氏は
事前の説明通り、そのままステント留置手術となった。何でも金属製のチューブ、ステントを心臓の動脈に入れて、血流を確保するらしい。
という手術を受けたそうです。
先だっての私の良性発作性頭位めまい症なども、何の前ぶれも、自覚もない状態からいきなり起こった(と自分では思っているのですが)ものですから、浅田氏の場合の「胸の痛み」のような症状にはうまく気がついてやりたいものだと思ったりもします。
体育会系で長く過ごした(過ごせた?)性格のせいか、よく言えばストイックというのか自分に厳しいと言えそうに思えるのですが、私もまた自分の体の症状を説明されても 「全然ピンとこなかった」 わけで、私の健康観がかなりいい加減なものだと思い知ったわけですし^^;
薬の作用や副作用を覚えておこうと思うようなところをうまく活かして、自分の体の管理を楽しんでいけるといいなと思うのです。