マニュアルがいらない時代!? のマニュアル??
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翻訳は、AIの発達で将来なくなる・いらなくなる?! かも知れない仕事 - そんなことが具体的に言われるようになっていますが、それとよく似た変化が言葉を扱う仕事全体に影響を与えるようになっているのかも知れないと感じています。
これまで関わってきた産業翻訳、その一角で目指してきた製品 - 最終的に完成させるもの - は取扱説明書とかマニュアルという形のものでした。それが今では情報とかコンテンツと呼ばれるものに変化しています。
主役… 仕事で扱うものが取扱説明書・マニュアルではなくなって、情報・コンテンツになってきた - そんなふうに言ってもいいかも知れません。しかも同時に、翻訳という形では? 言葉はいらなくなるかも知れない?? ということが言われる時代になってきた。
それでも -
今でも、仕事を通りして、取扱説明書やマニュアルを作ろうとしている人たちに多く出会います。
それだけに -
その人たちがどんなことを伝えようとして取扱説明書・マニュアルを作ろうとしているかに、よく耳を傾けたいと感じています。
マニュアルが伝えるもの
製品の情報には違いないのだけれど
ほんの10年20年ほど前までの私たちは取扱説明書やマニュアルを必要としていた - あるいはマニュアルがあってあたり前なんだと思っていたような気がします。それは言い換えると、私たち自身が工業製品 - 自動車やいろいろな電化製品など - に慣れていなかったことの証だったのかも知れません。
製品を作って届けるメーカーの側も、ユーザーが必要としているものが十分には分かっていなかった、だから、ユーザーに安心して自社の製品を使ってもらえるようにするために、
- 故障かな? と思ったら
どうすればいいか
- 動かなかくなってしまった! としたら
どうすればいいかといった、製品の使い方とは別の安心・安全を伝えるための情報を取扱説明書やマニュアルに加えてきたのです。
かたや “トラブルシュート” だったり、かたや “お客様窓口” だったりということです。
製品はマニュアルなしで消費者に渡せるのか
たとえば携帯電話。
iPhoneが発売される前のガラケーのころまで、 製品のパッケージには大量の? 取扱説明書がセットになっていました。
ところが携帯電話に限らず、ユーザーは取扱説明書を読んでから製品を使いはじめるということが少なくなってきていたのですね。
- どんな製品か
- どう使うのか
- 気をつけなくてならないのはどんなことか
10年20年という昔の話しですが、最低でもそんなことを確認してから使いはじめるのがユーザーとしての常識のように言われていたのですが…
製品を手にして、たとえば、
「電源を入れた後はどうすればいいか?」と
疑問にぶつかったとき、その疑問を解決する・回答を探して必要なところを読むのが取扱説明書・マニュアルだという使い方をされるようになりました。
よい取扱説明書・マニュアルは
- (メーカーが伝えたい情報を)いかに読んでもらえるか
という構成や表現の基準から
- 必要な情報をいかにスムーズに得られるか
という検索性の基準へと変わってきたのです。
家電製品などがいい例だろうと思います。
- アンテナをつないで電源を入れる
- 見たいチャンネルに切り替える
- 電源を切る
と言えば、ラジオかテレビの話しかな? とほとんどの人が想像できるでしょう。
- インターネットをつなぐ
- 有料契約しているチャンネルを見たい
- 電話をかける
と言ったとしたらどうでしょう?
テレビのことかパソコンのことか、タブレットのことか、はたまた自動車のことか分からないですね^^;
製品の進化 = 取扱説明書・マニュアルの内容 という事実
私たちが使う製品はこれまであった製品が進歩した最新型だということが多い!? - もしそうだとすると、ユーザーは新しい機能の部分の情報を必要とするだろうということが想像できますね。
そのときちょっと確認しておきたいことは、たとえば「インターネットをつなぐ」ということが(一部の人たちにとって、かも知れませんが)いつもの手順・イメージになっているということ。
たとえば、自動車のある装置を使ってインターネットにつなぎ、ネットサーフィンができるとしたとき、
[A] 自動車のある装置を使って
[B] インターネットにつなぎ、
[C] ネットサーフィンする
という手順が必要で、ユーザーにとって新しいのはどの部分かを考える - 考えて、装置やソフトウェアをデザインするだろうということを想像することが必要なんだろうと思うのです。
言い方を変えると -
私たちが使う製品がこれまであった製品が進歩した最新型、つまり、もう慣れ親しんでいる操作(=できること)の集まりではないとしたら、取扱説明書・マニュアルの必要性が高いということになる…
そう感じるのです。