言葉という文化 - それを西洋式に表すと
以前、品質ISOとC++, そしてSGML/XMLが良く似ている、プログラマー的な発想で取り組むと品質ISOもよく分かると思う… というような記事を書いたことがありました。
(国際規格ISOとプログラミング言語の共通点 - ISOを理解するためのヒント)
私個人の履歴書を書くような視点で考えてみると
- C, C++ (そしていくつかのマシン語)
- SGML
- XML
- ISO9001
という順序でそれぞれのシステムに関わってきたのですが、途切れることなく30年前後、この “良く似ている” と思っている文化の中で仕事をしてきたのです。
品質ISOとC++, そしてSGML/XMLによる構造化文書 -
どこが似ているかというと、”まず定義ありき” の部分です。DEFINE あるいは definition と呼ばれるエレメントがなければどのシステムもなりたたない・機能しない* - そこが良く似ているのです。
MEMO:
*: includeファイルと呼ばれるファイルを読み込み、機能の定義を宣言してはじまるC, C++のプログラム。
DTD (Document Type Definition) で情報の構造やパーツを宣言してはじまるSGML, XML。
品質目標を宣言してはじまるISO9001。
そして、その宣言を実現するための条件や機能が決まっているという点もとても良く似ています。
翻訳をとおしてこの3つ(ないし4つ)を相手にしてきた私は、この3つすべてがそれぞれ、言葉という仲間として識別できるものだと思っています。
そして、欧米の人たちはよくぞここまで同じパターンでいくつもの仕事をこなせるように考えたものだと思ってもいます。この3つのものを考案し確立した人たちはみんな別々の人たちですから、別々のシステムがよくぞここまで同じパターンになったものだと言ってもいいかも知れません。
“急がば回れ” のシステムたち
私はC, C++、SGML/XML あるいは ISO の信奉者ではありません(これもどこかで記事にしたと思いますが)。信奉者ではありませんが、それぞれのシステムの合理性には感心しています。
ただ、合理的だとは思うのですが、とんでもなく遠回りだとも思います。
こうしたシステムを確立できる欧米の人たちが忍耐強いのか、そうしたシステムのいいところだけをうまく使おうとしてきた私たちが要領がいいのか・気が短いのか?? - と思うほど、時間がかかるシステムたちです。
「XMLを使った文書管理のメリット」というのはどこかで聞いたことのあるキャッチフレーズのような気がしますが、そのメリットにたどり着くまでに膨大な時間とお金がかかるのです。
たとえば私たちが取扱説明書・マニュアルを作りたい・発行したいと考えたとすると、必要なことを書けばいいはずです。ただ、そのマニュアルを作るときどんな手順をたどっていたかを考えると、
- 旧版と作成しようとする新版の差分を確認したり、
- 新版のもとになる旧版の必要部分を正確にコピーしようとしたり
しています。
- マニュアルを作る・発行する
という目的と、そのために必要になる
- 差分確認 とか
- 流用
といった作業を同時に、あるいは連続して作業する。
しかも、さらに次の新版を作成するときの材料にもなるように… そんなことを同時に考え確立しようとするのですから、時間やお金がかかって当然です。
XMLでマニュアルを作るとしたら
取扱説明書・マニュアルを書くときには「文書を管理したい」とか「管理しなくちゃ」と思っているとかというと、必ずしもそうではない⁈ - むしろ、そういう発想を持ってはいないというケースがほとんどではないかと思います。
MS-Word で何かの報告書を書くようなシチュエーションを想像してみれば、目の前の文書を書こうとするとき、それ以外のことをほとんど考えていないことがはっきり分かるでしょう。
今から書こうとするのが休暇届けであれば所定の様式(用紙)を選べばいい。
ところが、特定の様式が決まっていないようなケースであれば、
- まず用紙のサイズを
- 決めてレイアウトを決めて見出しの種類とか
- 文字の書式を決めて…
と、様式を決めてから内容を書き出すということはまずないだろうと思います。
[新規作成] で白紙のページを呼び出し、タイトルから書くか、いきなり本文を書くか、もしかするとページ中ほどの表を先に書いてしまったり、必要になる画像を貼り込んだりしているかも知れません。
言ってみれば、XMLで文書を作成するというのは、その自由な手順をしばる方法です。
手順だけでなく、発想の仕方・考える順序さえ変えることを求める方法です。
そこまで遠回りする価値のあるメリットを、分かりやすく、効率的に手にすることはできないか - そんな都合のいいことを考えています。
to be continued …