理想の上司と簡単に言うけれど - 『仕事は楽しいかね? 2』

そもそも何のための仕事だっけ??

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企業に勤めサラリーマンとして仕事を持つ。1日の1/3に近い時間をその会社で過ごし、通勤の時間を入れればその会社のために使う時間は1日の半分近くになることもあるでしょう。

集中力を高めて向き合うのが仕事というものですから、どうすればより良い仕事ができるだろうかと多くの人が考え、考えたことを実践しようと頑張るものです。

ですからもしかすると、著者が言おうとしているほんものの上司がどういう人たちなのか、多くを読み込まなくてもこの著書の目次を見ればイメージできる人もいるかも知れません。

私たちが求めている理想の上司、その本当の姿

第1章 ほんものの上司に出会ったことはあるかね?
第2章 優れた上司は、常にお役所的な体制と戦っている。

この著書の目次、最初の二つの章のタイトルを見て何を感じるでしょう?
そうなのです。常にお役所的な体制と戦っているのが優れた上司なのだとしたら、私たちのその人に出会うことはできないのです。

お役所的な体制 - たとえば、既成の手続きや慣習に疑問を持たず、波風を立てず、上から降りてくる仕事を大過なくこなせればそれが一番いいとするような姿勢、取り組み方など - というのはその会社の中の空気のように、それであたり前と捉えられていることが多いのです。

それがどういう意味になるかというと - たとえば「みんなが問題意識を持って、目標を目指そう」というような意識とかスローガンも言葉の額面通りには共有ができません。何を問題とするか、どう目標にアプローチするかが仕事の中身であってその意識やスローガンは体制を変えようと言っているわけではないのです。

“体制を変えよう” というのはエネルギーと時間がかかることです。
みんなの千差万別な意見を集め、その妥協点を見出す。さらに目標を設定するにも同じ手順が必要になります。みんなの千差万別な意見を集め、その妥協点を見出す。しかも、トアイ・アンド・エラー - 要するに試行錯誤をしなければ前進ができません。

千差万別の意見と感覚を一つにまとめ、一つの方向にエネルギーを注ぐにはそれが欠かせないのです。 ところが、エネルギーを出し続ける、目標を追い続けるということにも千差万別の意見と感覚が付きまといます。
それがエネルギーと時間がかかるということです。

can we choose our boss
(c) Can Stock Photo / edharcanstock

理想の上司は自分たちで守るもの

そのお役所的な体制と戦う上司がいたとしても、その戦い方は上司の数だけバリエーションが生まれるでしょう。

ただ、共通するのはきっと、バランスのとれたみんなのための姿勢、みんなのための取り組み、振る舞いだろうと思うのです。端的に言えばお役所的な体制に単純に対抗することではないのです。

第3章 優秀な管理職の基本的な仕事は、管理することじゃない。
第4章 仕事選びの大切な基準は”いまより幸せになれること”なんだ!

単純に対抗すること、表立った対抗はみんなのためにはなりません。そこにある社内の溝を大きく、深くするだけで、それ以上のメリットはないのです。大きく深くなった溝はその上司にとっても、ストレスにはなっても歓びにはなりません。

しかも、そうした緊張を抱えている職場はたぶん、この著書が言っている「幸せ」から遠い職場だということになってしまうはずです。
だから、お役所的な体制と戦う優れた上司にであうことはできない - つまり、優れた上司の優れた活動は目立たないものだとういうことです。

だからかも知れません。
この2つの章に限らず、著書全体を通して語られているのはお役所的な体制を云々したり、どう対抗するかなどというレベルの低い話しではありません。そもそもどう仕事をしたいと思うか、それを実現するにはどうすればいいかという内容です。

第7章 仕事は楽しくなくちゃだめだ。職場から笑い声が聞こえてこなければ、きみのやり方は間違っているということだろうね。

部下を持つ身になった経験があれば、あるいは中間管理職という言葉の意味を実感したことのある人であればこの著書の目次に並んだ7つのタイトルを見れば、理想の上司がどんなものか、すぐにイメージが湧くのではないかなと思います。

そしてそれと同時に、理想の上司を求めることは理想の部下であろうとする自分の意識とそのままつながっているということにも気づくのではないかと思います。

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お役所的な体制と戦うということは、たとえば、仕事の意味、仕事の目標をしっかり見定め、やりがいを感じながら、集中力を高めて仕事に取り組むということを意味しています。しかも、会社という組織がみんなで活気づくような方法で - ここまで言えば、「それは理想だ」という意見が必ず出るものです。

優れた上司を求めていても理想は実現できないと信じている、優れた上司そのものが実はただの理想(?) だと言うような言葉が出てしまうのです。それがお役所的な体制につながるものだということも意識していても、です。

自分には、理想を求め、理想を語る若さはもうないと認めるか、それとも自分の中の理想を思い出して仕事の歓びを思い出すか - とても分かりやすい言葉でそんな素朴な疑問を投げかけ、答えを出してくれる一冊です。

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