ブログを書く動機 - 合言葉を知っていますか?

素朴な疑問をたどってみると同じところに出る

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製品マニュアルやカタログの翻訳という仕事をしているせいなのか、情報や言葉の使われ方にこれまでとは違う変化を感じている私は、今求められている言葉、日本語はどんなものだろうという疑問に答えを探しています。

そして最近、インターネットやそこを流れる情報はどんなものなのかという疑問と、iPhoneのような製品に取扱説明書がなくなっているのはなぜかという疑問の答えがつながっているのではないかと感じています。

その1: 私たちはインターネット上の情報をどんなふうに使っているだろうか。
  • たとえば税金のこと、
  • あるいは冠婚葬祭のこと、
  • あるいは見たいと思っている映画のこと

説明や知識を必要とする項目は本当に千差万別ですが、何かの情報を必要とした時、その答えを得るためにインターネットにアクセスして検索してみる - 今では当たり前になったインターネットの利用の仕方はとても特徴的ですね。

言ってみれば

  • 必要な情報を必要な時に必要なだけ

別の言い方をすれば、巨大な情報のプールの中から必要な情報をピックアップして、納得したらそれで1クールは終了。

検索という点でアナログなものを探してみると、英和辞典で単語の意味を確認するという作業が良く似ているでしょう。インターネットでの検索はいったい何倍速いでしょうか?

知識を得るという点では、アナログなものと比べるまでもないでしょう。知りたいと思ったことの情報は、いくつかの言葉を使って検索し、ジャンプした先のウェブページ1つか段落1つ、あるいは文章1つで答えが得られます。かかる時間の短さと、1クールで必要とする情報の小ささがインターネットを流れる情報の速さであり、高速さだと思うのです。

その2: よく似た例が、印刷業界の「オンデマンド印刷」以外にないか

インターネットの情報の例によく似たものと思って思い出したのが、印刷業界にあるオンデマンドという技術です。

多ロット少部数 - つまり、色々な種類の印刷物も印刷部数が少なければ、必要な時に、従来の印刷方式より安く早く仕上げることができるという技術です。

曰く

  • 必要な部数を必要な時により安く早く

よく似ていると思いませんか?

印刷物としての取扱説明書を必要な人に必要な時に届けようとするならば、大量に印刷することで単価を下げ、かかる費用を抑えながら目的を達成することができます。ところが、在庫管理という別の費用がかかりますし、必要とする印刷部数が少ない時には、逆に印刷費用がかさみます。だから、安く早い方法として重宝されるようになった技術です。

必要な時に必要なだけ、必要な場所で、必要な形 - は情報や映像・映画、音楽、コンテンツの利用方法としては On Line, On Demand が常識になっていますね。

その3: 製品の取扱説明書をどのように読んでいるか

そしてさらに、製品の取扱説明書を読むときも同じだと思うのです。

目次や索引で知りたい項目を検索してページ数を確認し、そのページを開く。さらに分からないことがあればそのページにジャンプする。それが取扱説明書の一般的な使い方ではないかと思います。

これもまた

  • 必要な情報を必要な時に必要なだけ

必要とされる情報自体はユーザーにとっては大切なものですが、必要とされる頻度がとても低い。それだけではなくて、手間暇をかけて膨大なページの分厚い印刷物を用意しても、ユーザーにとっての疑問や問題が解決してもらえないケースはゼロにはならない。取扱説明書で検索したり読んだりするより、お客様窓口で聞いた方が早いということになってしまう。

だから、大量に印刷して注文を待っている印刷物の在庫管理と同じで、取扱説明書自体の存在を何とかしたいと考えたとしても無理はないように思います。

情報の過去、現在に気がつくと、その先が見えてくる

これほど安直な構図が私の疑問の答えだと思う前に、まずは確認と検証が必要だろうとは思っていますが、早く安くが世の中の合言葉になっていて、それが、ばらばら・別々に見える現象の中心にある - 言い換えると、iPhoneのような製品の取扱説明書がなくても良いというシグナルは、私たち自身が出してきたのだと思うのです。

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少し前、PCやOSの新製品への更新がとても頻繁だった時期がありました。製品の流れとそれに関連した情報の流れは “より早く” が時代の要請だったのです。届けようとする製品に情報のタイミングを合わせる必要があった - それほど、情報を発信することがむずかしいことだったのです。ところが今は、製品の姿が見える前からその情報に触れることができる時代です。

それだけで、どんな情報、どんな言葉が求められるのか、想像がつくような気がします。はたしてその想像が当たっているかどうか、目を凝らして見ていようと思います。

To be continued…

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