アナログがまたひとつ消えていく!? 取扱説明書の次はカタログ??

取扱説明書のあとはカタログ - 進むデジタル化

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書籍を読む20代の人たちの半数がデジタル版の愛好家だとも言われる今の時代、印刷という技術はどこへ行こうとしているのだろうと考えることが増えてきた -そんな気がしながらこの記事を書いたのは2017年12月でしたら、もう3年の時間が経とうとしています。

翻訳とか印刷物の発行というものが、どれくらいデジタル化してきたか。
しかも、それまでの紙に印刷されたものがどれくらい形が変わってきたのか・なくなったりしているのか…

Sustainable(持続可能性)がまだ取沙汰されている(と私は思っているのですが)産業翻訳の片隅から、情報発信の変わり方を見ている気がしています。

人口減や電子媒体の普及による「紙離れ」が進むなか、印刷会社や新聞社が積極投資に打って出る。

出典:日本経済新聞・「紙離れでも積極投資 凸版印刷100億円、神戸新聞は輪転機

そんなニュースを読んだのはほぼ1年前。

印刷会社の一員として「紙離れ」を実感したのは1990年代のことでしたが、今は翻訳会社の一員として、次のレベルの「紙離れ」を経験しています。

iPhoneに印刷物になった取扱説明書がないのはなぜか」で考えたように、印刷物としての取扱説明書を意識させない製品が出てきた時点で、次はカタログの電子化だなと思っていたのですが、私が翻訳会社のクライアントとして付き合っている業界は、予想した通りのペースとタイミングで「紙離れ」を実行しようとしています。(メーカーによって違いはあるようですが… )

文字の役割りが変わっている!?

取扱説明書はデジタル化され - 電子データとして - 製品のコントロールパネルに表示して読めるようになる。そして今、カタログもフルカラーで印刷された冊子ではなく、アプリとWiFi環境を通して手元のiPhone\スマートフォンやタブレットにダウンロードして見るようになる…

取扱説明書の時には -
そもそも、ほとんど開くことがない印刷物というイメージがあって、印刷物として製品に添付されている必要はないのかも知れないと、受け入れやすいもののひとつだったような気がします。

それが今、カタログということになると -
店頭からカタログをならべていたラックや棚がなくなってスペースもスッキリするだろうな、製品の販売の仕方も携帯電話の窓口みたいになるかな?! と思ったりします。

この感覚は、印刷物がなくなるということをあり得ることとして、受け入れる準備ができていることを意味しているように思うのです。言い換えれば、それだけモバイルデバイスが身近なものになっているのでしょうね。

印刷物としての資料がいるか・いらないかというスタンスで考えたとすると、取扱説明書の場合はほとんど開くことがなかった、だからいらない!?
ではカタログの場合は? - そうです、製品が新製品と呼ばれて店頭に並んでいるときが「旬」で、それ以外はいらない - 手にすることが少ないかも知れないのです。

取扱説明書は製品の一部と言われていた時代があったと「iPhoneに印刷物になった取扱説明書がないのはなぜか」の中で確認しましたが、カタログも必要と考えられていたからこそ制作されてきたのですよね。何のために必要だったのでしょう?

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(c) Can Stock Photo / italianestro

思えば「紙離れ」は私たちユーザーの「文字離れ」だと言えるのじゃないかと思います。

うんと角度を変えて言えば、文字で補佐しなくてもいい? くらい、製品の信頼性が上がり、私たちユーザーの製品を受け入れる感覚・感度が高まっている。つまり、製品私たちユーザー の間をつないでいたのが 取扱説明書 でありそこに印刷されている説明、文字だったのだなと思うのです。

今は IoT をはじめとして、Connected という言葉がそこここで使われる時代。製品と私たちユーザーも、仲介いらずでダイレクトにつながれるようになったと言えそうです。

「紙離れ」し「文字離れ」したカタログとして典型的だなと思っているのが、自動車メーカーがウェブサイトで公開するようになっているコンフィギュレーター (Configurator) と呼ばれるサービスです。3D画像を見ながらボディカラーやホイールのデザイン、シートやドアパネルのカラーや素材を変えたり、オプションの装備品を付けたり外したりして、バーチャルに完成した自動車のイメージを見ることができます。

コンフィギュレーターが見せてくれる実物を見ていて真っ先に思い出すのは「百聞は一見に如かず」という言葉。つまり、言葉で説明したり読んで理解する・イメージを膨らませるのではなく、実物を見るという今私たち自身が求めているものです。

カタログ1冊を創り上げるにはデザイナーやコピーライター、カメラマン、編集者が時間をかけてコンセプトを練り上げ、写真とコピーテキストを集め、選び、磨き上げます。つまり、メーカーがユーザーに伝えようとするのがカタログなのです。

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ところが、コンフィギュレーターにあるのは製品の3D画像だけ。
実際にはバーチャルですが、実物そのもののイメージだけです。

コンフィギュレーター vs 印刷物のカタログ というほど単純なものではありません。
コンフィギュレーターの周り - 同じサイトの中にはそのほかの情報がカタログとは勝負にならないほどたくさん詰まっていますから。

けれどあえて、コンフィギュレーター vs 印刷物のカタログ と並べてみると、なぜアナログの印刷物という形のカタログが消えてゆこうとしているのか、よく分かる気がするのです。

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