父にはむずかしかったパソコン
仕事で新しいシステムを覚え、新しいソフトウェアを使うように求められて、その操作マニュアルを読んで準備を進めているのですが、地球の裏側 - ヨーロッパ - にあるサーバーに保管されているデータを東京のオフィスから直接開き、オンラインで作業。保存はもちろんそのままヨーロッパのサーバーへ。
そんなシステムでの作業のイメージを追いかけながら、もう15年近く前、父が生前、自分でもやってみたい、使えるようになりたいと量販店へ私を引っ張って行き、自分に合うパソコンを選んでくれと言っていたことを思い出しました。
パソコンはやっぱりパソコンだった!?^^;
その当時はハードウェア、ソフトウェアという言葉があって 、ドライブとかディレクトリ(今のフォルダのことですね)、ファイル、さらにはディスプレイ、キーボードにマウス、そしてそしてネットワークとかケーブル、モデム などなど、とにかくたくさんのものを操作するという意識や知識を前提とするのがパソコンというものでした。
PCの世界ではそれは今だって変わりなく、なくなっているわけではないのですが、今よりずっと、ユーザーが自分で操作するという感覚が強かったように思うのです。
その時に選んだのは、当時売られていたインターネット・パソコン - 3.5インチのフロッピー・ディスク・ドライブが1つあるほかは、インターネットとプリンターを接続するためのポート、そしてモデムを持っているだけ、ディスプレイも一体型の簡単パソコンと呼ばれるものでした。
3.5インチのフロッピー・ディスクということは保存できる容量は1MB。今ならとても話しにならないほど小さな容量ですが、そのフロッピーをいっぱいにできるほど使いこなせたらもっと高精度のパソコンに買い換えればいいさと選んだものでした。
使い方を教えろと迫られたときも、ワン ツー スリー!的に言葉を極限にまで?^^; 切りつめて、動作原理などの理屈は抜き! 手順だけにしてやろうと思って工夫したつもりでしたが、アナログと言おうか何と言おうか、ファイルというものを理解させるというあたりでつまづくとは思っていませんでした。
私が考えたワン ツー スリー!は
- ソフトを選び
- ファイルを選び
- 目指す作業をしたら
- 保存してソフトを閉じる
(ワンツースリーフォー! ですね^^; )
ところが、「保存して」を理解するのがそれはそれはむずかしいようでした。
父がイメージしていたのはワープロ - MS-Word - で文書を作りそれを印刷するという作業だったのですが、保存するということの意味と「ファイル」がなかなかピンとこなかったのです。
もちろん保存なしで印刷することもできますが•••^^;
一度作ったページの一部を改訂して新しいページにするにはどうすればいい? というのですから、保存は避けようがありません。
その上、ワンツースリー! でも、ワンツースリーフォー! でも終わらないのがパソコンでの作業です。
実際には
- ソフトを選び
- ファイルを選び
- 目指す作業は
- 文字のサイズを変えたり
- 色を変えたり
- 画像を挿入したり、差し替えたり
- そして印刷したり
それができたら
- 保存して
- ソフトを閉じる
わけですから
つまり、ワープロソフトのON / OFF+ファイルのOpen / Close のワンツースリーフォー! と ワープロ上の作業そのものの ワンツースリーフォー! - ざっくりと要約しても8ステップもあるのです。
ファイルさえ理解し、イメージするのに四苦八苦していた父が苦労しても当然でした。
使える人のためのツールの便利さ・楽しさを使えない人に分かち合えたら
こんな時はどうする? あんな時はどうすればいい? と深みにはまるような(^^;; 疑問ばかりが浮かんでしまい、ますます分からなくなっていた父の姿が思い出され、今のスマホのようなインターフェイスだったら、父はもう少し上達できただろうかと思ったのです。
iPhoneやスマートフォンをはじめとして、今のデジタル・デバイスを使ってみれば、デバイスそのものが自分で仕事をしてくれる領域がずいぶん増えていると感じます。
MS-Word のアプリをタップすれば、最後に保存したのはこのファイルだよと示してくれますし、何より、ホームボタンを押すだけで作業中断も、保存もできる。ファイルを保存するというイメージや手順を忘れさせてくれていますよね。
間違っても保存場所をクラウドにすれば•••なんて最新技術の話しは出さない限りかも知れませんが ^^;
できるところだけやればいい。フロッピーがいっぱいになってしまえば整理の仕方を覚えればいいし、印刷する紙のサイズを変えたくなったら、その時手順を教わればいい。
全部覚えなければ使えないなんて、自動車の免許を取るのとはわけが違うんだからと、アナログな感覚をデジタルにフィットさせてやりたい教える方もいっしょになって奮闘した日がとても懐かしいです。