夢と現実の間 - 大らかに夢を見る力、冷静に現実を見る力

父が見ていた夢

スポンサードリンク

私の父親は、生前、それも現役時代には今はJRと社名を変えている日本国有鉄道という組織の一員でした。

その父が亡くなってから、遺品を整理し、実家を整理している時に「ああ、そうだったのか」とわかったこと、それは、私が物心ついた頃には父はマイホームの夢を持っていたらしいということでした。

三種の神器と言われた家電製品を持つことが一般家庭の夢だった時代があると言いますが、自家用車を持ち、次はマイホーム - そんなふうにみんながよく似た夢を持って働いていた時代に父は生きていたのだなと思ったりしたのです。

それと同時に、父が現役だった頃、私自身が育ったコミュニティというか、日本の社会の雰囲気を思い出すと、ずいぶん大らかだったのだなと思うのです。

キャリアや出世という形でも、日ごろのサラリーという形でも、父が持っていたらしい長距離の目標を達成するという形ででも、仕事での努力は遠からず自分のためになって帰ってくる。
カレンダーを横軸に、目標の達成率や仕事の成果、あるいはサラリーを縦軸にグラフを描けば、右肩上がり。コンスタントな努力の継続こそ力 - そんな将来を疑わずに暮らせていたのだろうと思うのです。

今の私たちの感覚からすれば、それはそれは大らかだなと思いませんか?

open your door to enter your dream
(c) Can Stock Photo / photocreo

夢と現実 - その間にあるのは「時間」

その一方、今の私たちの感覚は現実的と言おうか、合理的と言おうか、夢がないと言おうか。なんとも切なくなるような頭のよさが求められる世の中になったものだと感じます。

マイホームを持つことが夢の人も、「マイホーム」とは住宅ローンを全額返済し終わったあとに、初めて言える言葉であって、ローンがあるうちは、マイホームというよりもむしろバンカースホーム(銀行の家)、お金を貸してくれた銀行の所有物くらいに考えた方が正解です。

(中略)

住宅もそうなのです。持ち家を買って最初の数年はいいでしょう。きっと家族の夢や思いに沿った住宅に住むことができて幸せだとも思うのです。しかし、その思いは、その後30年や40年にわたって同じままでしょうか?

ですから、買うべきか、借りるべきかという話になったときに多くの人が言う、家賃を払うよりも、いずれかは自分のものになるからマイホームのほうがいいという論法に疑問があるのです。

出典:佐藤治彦氏 著・「普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話 (扶桑社新書)

確かにそうだろう - 築20年、30年、あるいは40年というのがどういうものかを知っていれば尚更ですね。結婚20年を超え、子育てを終えるころになっていたり、家族の互いの関係がどんなふうに変化してきたかを経験をしていれば、さらにその意味が余計によく分かるでしょう。

思わずうなずけてしまう、そんな情報が手を伸ばせば触れることができるところにあって、それを読む私たち自身も自然とその情報が理解できるようになってしまっている。だから、かつての父の時代を「良く言って大らか、厳しく言えば意識が甘い」と評価することができてしまうのです。

“評価することができてしまう”。つまりは、夢を後回しにすることもごく普通にできるようになっているのです。

父の姿・暮らしで確かめた一生という時間の意味

今の社会そのもの。それが、計算ずくで夢のないものだとすれば尚更、そんな自分の感覚に余裕を持たせたいものだと感じます。自分の年齢や健康、仕事や経済力、そして生活観や人生観を現実的・合理的、そして冷静に見る力をつけることは、大らかさを取り戻すためにどうしても必要だと思うからです。

冷静さと大らかさが両立できるのかという疑問はあっても、両立できるといいのだが、と思うのです。

なぜなら、大らかさだけ? の父を見てきたからです。
実家が築10年を超えないうちに子どもたちはそれぞれに独立して実家を離れていく。築20年を越えて、子どもたちの子育てが佳境に入ったり、終わりが見え始めるころには、自分たちの将来をもう一度見直す機会が来ていた。
けれど、築30年が見えるようになるころには、体力と気力の衰えに勝てず、子どもたちの話しや提案に耳を貸すこともしにくくなっていた。

スポンサードリンク

そんなふうに、大らかさだけの頼りなさ、切なさを見てきたからです。

家族の満足や安心があってはじめて世帯主としての私たちは安心ができる。そのためには、世帯主としての私たちは自分にできること・できないこと、家族に助けを求めること、諦めること、あるいは挑戦することを判断できる必要がある - そう思うのです。

そうした強さが持てるはずと信じてやってみる - 大らかさというより、バイタリティを発揮するのは今しかないという気がするからです。

スポンサードリンク

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です