『年金の請求手続きのご案内』を受け取ったら確認すること
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老齢厚生年金の構造の複雑さと、郵送されてくる資料の説明をどうつないで理解すればいいのか、最初の投稿のあとで確認できたことを盛り込んで内容を訂正・更新します。
老齢厚生年金を受け取る権利は原則65歳から発生するのだけれど、一定の条件が満たされているので特別支給の老齢厚生年金が支払われます - という意味合いの説明といっしょに年金を受け取るための手続きを行ってくださいと申請書を受け取ったとすると思わず申請の反応をしそうですが、このお知らせの最初に書かれている「特別支給の老齢厚生年金」って何でしょう? そのまま申請手続きをしていいのでしょうか?
それでなくとも複雑で中身についての理解が追いつかない感じの年金ですが、どうしますか?
年金を受け取るための手続きを行ってください
と説明されている説明書の一式を確認してみると、その内容は
- 特別支給の老齢厚生年金を受け取れますよの通知
- 受給の手続きの概要
- こういう書類をそろえてくださいね という説明
- 受給についての要点と問い合わせ先の電話番号や受け付け時間の案内
- 受け取る年金の内容をねんきんネットで確認しておいてくださいという注意
- 相談窓口は混み合うので予約してくださいという案内
- 年金事務所の所在地一覧
そして - 年金請求書
つまり、知らされている年金を受給することを前提にした内容です。
相談窓口がありますからねという案内は含まれていますが、特別支給の老齢厚生年金の詳細について… のような表現はまったくありません。
確認したいこと その1
ともあれ、年金の請求手続きのご案内を受け取ったら確認しておきたいのは
- 老齢厚生年金の構成
この内容が実に複雑ですよね!^^;
61~64歳で 受給できる |
特別支給の 老齢厚生年金 |
報酬比例部分 | |
定額部分 | |||
原則65歳から受給 | 本来の 老齢厚生年金 |
老齢厚生年金 [A] |
繰上げ・繰下げ申請が可能 |
老齢基礎年金 |
この構造の中の「特別支給の老齢厚生年金」が受け取れますよというお知らせです。
特別支給の老齢厚生年金って何?
厚生労働省の説明はこうなっています。
昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の支給開始年齢が60才から65才に引き上げられました。支給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるために設けられたのが「特別支給の老齢厚生年金」の制度です。
「特別支給の老齢厚生年金」を受け取るためには以下の要件を満たしている必要があります。
- 男性の場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと。
- 女性の場合、昭和41年4月1日以前に生まれたこと。
- 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
- 厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
- 60歳以上であること。
つまり、厚生年金を受け取れる年齢を5年遅らせることになったけれど、一挙に切り替えてしまうのではなくて段階的にしようとしている。その中間をつなぐような制度が特別支給の老齢厚生年金だというのです。
しかも、特定の条件を満たしている特定の年齢の人に対して取られる処置です。
この説明は送られてきた年金の請求手続きのご案内(特別支給の老齢厚生年金を知らせてくれる書類の中)では触れられていません。
その代わり? が、特別支給の老齢厚生年金って何? の答えの一部が
- 厚生年金保険に1年以上加入している人は特別支給の老齢厚生年金が受け取れる
- 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられる、そして
- 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は60歳を越えれば繰り上げて受け取れる
という説明になってねんきん宅急便の中の「老齢年金の繰上げ請求について」に記載されています。
ねんきん宅急便の内容、ご覧になっていますか?
分かりにくさがここにあります!
「老齢年金の繰上げ請求について」の一部で特別支給の老齢厚生年金の説明をしてくれていますから、特別支給の老齢厚生年金の請求=老齢年金の繰上げ請求??? と伝わりますね。
ところがそうではありません。
- 特別支給の老齢厚生年金の請求: 文字通り、特別支給の老齢厚生年金の請求
であり - 老齢年金の繰上げ請求: 本来の老齢厚生年金のうちの老齢厚生年金に対する繰上げ
(上の表にした項目の[A]の部分)
についての説明です
さらに言えば
- 特別支給の老齢厚生年金を請求して特別支給の老齢厚生年金を受け取っていた人が65歳になると
- 老齢厚生年金・老齢基礎年金の請求申請が必要になります
本来の老齢厚生年金・老齢基礎年金 - その繰上げ・繰下げ請求とは?
特別支給の老齢厚生年金の請求申請をするとなると、本来の老齢厚生年金・老齢基礎年金の基本や、違いをよく理解しないわけにはいかないように思います。
特別支給の老齢厚生年金を受け取る資格のある人が、本来の老齢厚生年金を繰上げ請求できるのか? つまり、61~64歳までの間、受け取れる老齢厚生年金が増額できるのかどうか… もしそういう必要を検討しようとするのであれば、
特別支給の老齢厚生年金の支給が止まり、本来の老齢厚生年金だけになったとき、その金額がどうなるのかということもちゃんと認識・学習して、そのメリット・デメリットを理解した上で申請しなくてはいけません。
本来の老齢厚生年金・老齢基礎年金のうち、特に繰上げ請求すべきかどうかという疑問に対する答えは明瞭!?^^; です。
繰上げ請求するといくつかのデメリットがあります。十分理解した上で繰上げ請求するかどうかを決める必要があります。
出典:日本年金機構・「繰上げ請求の注意点」
年金加入記録はどう確認するか
年金の請求手続きのご案内(その書類一式)も、ねんきん宅急便も自分の年金加入の記録、その最新状態を確認しておいてくださいと説明してますが、ねんきんネット以外の確認方法が触れられていません。
問い合わせのための「ねんきん宅急便・ねんきんネット等専用ダイヤル」として電話番号が記載されていますが、加入情報そのものの詳細を調べてくれる番号だとは書かれていませんからご注意を。
つまり、年金を受給するための情報 - 年金手帳に書かれていない詳細情報の確認の中心はねんきんネットだということです。
確認したいこと その2
つまり、自分と年金はインターネットでつながっているということ。ということは
- パソコンと
- インターネットに接続するための機器がそろっていて
- それを扱える、その上で
- ねんきんネットへの接続情報を管理できているか
繰上げ申請するほどの年齢の人であればパソコンやインターネットについての心配はあまりないかも知れませんが…
場合によっては、家族が運用を支援しなくてはならないこともありますから、そうした手順も含めてよく確認をしておきたいものです。
これほど問題になってきて、これほど関心の高い年金という名のお金の話しですが、何より自分や家族の生活に直結することですから、正しく理解して正しく利用できるようにしたいもの。
例えるなら、納税は国民の義務。けれど、確定申告のときの高額医療費の控除の申請のように、税金の還付を求めるかどうかは個人の問題⁉︎^^;
それと同じように「特別支給の老齢厚生年金」がどういうものか、受給には何をしなくてはならないのかは、支給を受ける権利を持っている者が自己責任 & 自助努力で⁇ 判断し対応しなさいということのようですから尚更ですね。