自分の命を自分で考え、自分の健康を自分で守るために - 『「いのち」が喜ぶ生き方』

インフォームド・コンセントに欠かせないもの

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自分の健康、命を自分で考えるということの意味

時代によって、あるいは人によって医師の位置づけは変わります。
ひと昔前は「いつでも助けてくれる存在」だったのが、現在は「不都合なときに適切な助言・助力をしてくれる助言者」のような感覚になっているのだろうと感じます。時代によってその感覚はどんどん感覚は変化します。

患者さんが医師に期待する部分というのは診断治療の筋道を示すこと、自分がどういう立ち位置にあるかを示すことです。そこから先は患者さんが決して医師任せにするのではなく、自分で考えて行動しないといけません。緊急避難は別にして医師はあくまでも患者さんの意志を尊重する立場です。

出典: 矢作直樹 氏著・「「いのち」が喜ぶ生き方

「不都合なときに適切な助言・助力をしてくれる助言者」と
「自分で考え行動する患者」
は同じ目線の関係なのだなと感じますが・・・

それ以前に、医師の方たちというのは日常的に、病気や健康、あるいは命と向き合って過ごされている -

一方、一般の私たちはどうかと言えば、普段は病気や健康をこれといって意識することなく過ごしているということが圧倒的に多いのではないかと感じます。
それが命のこととなれば尚のこと。

蘇生処置を必要とするような事態に陥ったとしたら・・・、延命処置の必要を判断しなくてはならないような事態になったら・・・。
それは健康に過ごしているときに具体的に - 実感をもって - シミュレーションするということはなかなかできることではなく、結果的に「自分で考えて行動する」というわけにはいかない。

だから、今でもまだ多くの人たちにとって、医師は「いつでも助けてくれる存在」であってほしいというのが正直なところなのではないかと思うのです。

医師と患者は協力しあえるものなのだろうか?

何も難しいことではありません。
「どう生きるか」
昔も今も医療の命題はただそれだけの話です。その根本的なところを理解してもらいながら、一人ひとりのサポートを医療サイドが担当するというとこです。生き方も死に方も医療に預けることなく自分自身で考え、医療も知識や方法を一義的に押しつけることなく多義的にサポートする。これが今後のあるべき姿です。

施術を担当して予後をチェックすることは医師の仕事ですが、例えば手の施しようがない状態で行う「心のケア」という部分に、医師が手を伸ばすことができればそれは一番いい形です。

出典: 矢作直樹 氏著・「「いのち」が喜ぶ生き方

たとえば、医師の側にこうした意志、目標があったとすれば、その助けを求める患者の側に「こうしたい」という意志、「こうしてほしい」という願いがあって、そのふたつの意志をすり合わせるのがインフォームド・コンセントであってほしいと思っているのですが、私たち一般の人間と医師の間で普段の意識が違い過ぎるのではないかなという問題のほかにも、
そうした意志のすり合わせをするにも、医師はあまりに忙しい - 互いの意識の違いがないかを確認したあとで本題に・・・というような、理想的なすり合わせは望むべくもないほど医師には時間が足りないのではないのかなという感じが残っています。

直接的なこと、間接的なこと

また、自分の意識のあり方といっしょに、病気に関する直接的なことと間接的なことの違いを私たち患者の側は理解しておかなくてはいけないだろうなと感じます。

「施術を担当して予後をチェックする」というときその範囲はどこでしょう?
時系列的な縦の範囲、特に「予後」はどこまででしょう?入院を考えてみると、分かりやすいような気がします。「この状態で返されても困る」という経験をしたことはないでしょうか?

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精密検査の結果を待つ間の不安はどこに相談に行けばいいのでしょう?
こうした情報はどこそこでお話しできますとか、こうした範囲の不安にはこうした情報で応えられますなんていう話しは聞いたことがないのですが。
そうした「施術とチェック」を結ぶ線には外と内があって、いわば横の範囲の境界も簡単に線を引くことはできないと思うのです。

その「内」が病気とその治療に関係する「直接的なこと」、そしてたとえば、検査結果を待つ間の不安のようなものは「外」であり「間接的なこと」です。

そして患者にとっては(もちろん治療にあたってくれる医師にとってもでしょう)、「施術とチェック」を結ぶ線 - 検査と治療という「直接的なもの」 - の外側こそ普段の生活なのですから、「生き方も死に方も医療に預けることなく自分自身で考え」という矢作さんの言葉の意味をよくよく理解し、体現できるようにしたいと感じるのです。

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