実は日常にも役立つツール、それがエンディングノート
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60歳を超える方のうちエンディングノートを知っている人の割り合いは男性35%、女性54% - そんな記事に出会いました。そのうち数パーセントはエンディングノートを書き終えたと言い、半数近い方が書いてみたいと考えておられるとか。
たとえば、人生の終わりに備えておこうという動機で書かれるのがエンディングノートなのだとしたら、そして、子どもや自分より若い家族のために残しておこうという想いがあって書かれているとしたら、50、40、あるいは30代のより若い人たちはどのくらいの人たちがエンディングノートというものの存在を知っているだろうと思ったりします。
子どもや自分より若い家族のために備えるとしたら、そしてもし、子どもたちがエンディングノートやその内容を知らないとしたら、ノートを書いておこうとする側は、その意味をどこかで伝える努力もしなくてはいけないだろうなと感じるからです。
エンディングノートに記録する項目はあまりに多い
エンディングノートに記録できるもののカテゴリーはずいぶん細かく丁寧に設定されて売られているので、一つひとつの情報に過不足はないかも知れません。
- 不動産について
- 生命保険の契約の銘柄や保険会社の名前、連絡窓口
- 預貯金や有価証券の取り扱い金融機関、窓口や連絡先
- クレジットカードや電子マネーの取り扱い金融機関、窓口や連絡先
- ライフライン(電気・ガス・水道、下水など)の契約会社や連絡窓口、料金支払いのための自動引き落とし契約
そのほかにも
- 医療や介護に対する考え方
- かかりつけの病院や薬局、既往症についての情報
- 亡くなったことを知らせてほしい親族や友人のリストやその連絡先
- ペットをどうしたいと思っているか
- 葬儀をどうしたいと思っているか
- 墓所をどうしたいと思っているか
などなど
簡単に書き切れるものではありそうそれはそれは多種多様な情報が必要なことがわかるでしょう。

エンディングノートは日常生活でも役に立つ
エンディングノートを書いている本人が自分に関わりのある項目や情報を確認するためであれば、話しはそこまででいいのかも知れません。エンディングノートはそういう日常生活を支援する情報という機能も果たすことができます。
- キャッシュカードやクレジットカードが入った財布を落としてしまった!
- 保険を見直そう
- インターネットを利用するためのプロバイダを変更しよう
というようなケースがいい例でしょう。
内容構成は時系列にはなっていない
ただ、そうした情報の延長として、自分に万一のことがあったときの備えとしてもと考えるとしたら、そしてその時必要になる手続きの進め方とか順序ということになると、その手続きや関連する情報を時系列的にたどれるように記録できるノートはまだないように思うのです。
ましてや、家族が亡くなってからノートを開いて、そうした情報や手順をたどれるようにしておくには、よほどの整理とその整理したものの存在を家族に知らせておくことが必要でしょう。言い換えれば、エンディングノートは
- まず、書く本人が自分にとって大切なものを確認するために、そして
- 万一の時に備えて家族に知っておいてほしいというものを伝えやすいように、さらに
- 葬儀や相続、その前後の後始末をしてくれる人が必要とする情報をまとめておくために
そんな順序をイメージしながら書いてみるといいように思います。
繰り返しになりますが、「葬儀や相続、その前後の始末に対応してくれる人のため」のエンディングノートを作ろうとするのであれば、
- 時系列にたどれる構成になっていること、そして
- その存在を読んでほしい人に伝え、その内容を話しておく
ことが必要な部分があるということを意識しておくことだろうと思うのです。
言い換えれば、エンディングノートを作る人とそれを読む家族の間で意思の疎通ができなくなってしまったらどうするか - そこから先は時系列と予備知識となる話し合いがほしいように思います。そして、いわゆる相続と呼ばれる手続き作業は、実家不動産と連動するような処理を必要とする場合には特に、手続きの時系列が説明されていることが必要でしょう。
自分のための備忘録 - その延長のエンディングノートならば
エンディングノートには書く人のプロフィール(基本情報)
- 健康保険証
- 運転免許証
- パスポート
- 住民票コード
- マイナンバー
などを記入するページが一番最初にあるだろうと思います。もし、一般的なエンディングノートの構成で必要な情報をまとめたものとして残そうとするのであれば、そのページに相続手続きの時の備えとして、頼ってほしいと思っている司法書士やその事務所の連絡先を記入しておくといいように思います。
多くの方が経験されているのではないかと思いますが、それが誰であっても、亡くなってから葬儀をどう手配するかが決まるまで半日と時間はかからないことが多いのではないかと思います。その間、エンディングノートを開いて、確認しながら対応できることはほとんどないと言っていいでしょう。
死亡診断書の写しがあると相続の手続きの助けになる場合があるということが分かったときには、死亡診断書が手元にないということになるかも知れませんし、死亡診断書でなくても除籍謄本を取ることで必要な証明ができるということが分かるには、多くの人のアドバイスを受け、必要な組織に連絡を取り足を運び、申請書を書くことが必要でしょう。
もちろん、誰もが通る道だからという捉え方もあるでしょう。しかし、亡くなった人の思いを実現しようとする、残された家族の気持ちに寄り添うことができるのも、生前の意思表示だらかこそですから、その利点をうまく生かせるといいのだがと思うのです。