『刺繍用の専用台』 を作る その②
道具の使い方よりもどちらかと言えば、材料の選び方~デザイン~加工の工程全体をたどることに重点を置いてみようと始めた『刺繍枠』の作成も、作品第1号になって工程全体を決めるのはやはりデザイン - 構造とサイズ - だとうことがはっきりしてきました。
特にその構造とサイズのイメージが絞り込めてきたところで、専用台を作ってみようと思います。
木工の基本 - デザイン、材料、加工の手順はそのままに
作ろうとする物のサイズと重さに配慮したデザインを
刺繍枠はおおよそ50×40cmという大型の作品です。幅50cmといえば成人男性の肩幅ほどもあることになりますから、直径18cm、厚さ10mmに満たない一般の丸型刺繍枠のように片手で扱えるものではありません。わざわざその大型にするのは、布の大きさ(横幅1m以上)に対応するためですが、枠の大きさと重さも考慮しなければ十分に使いこなすことができないのです。
釘を使わない組み立てを目指して
周囲に憚らず切ったり叩いたりの音を立てた加工が日曜大工の醍醐味だろうと感じながらも、住宅事情に配慮してあえて、音を立てない加工を目指してみようという作品作りの第2章ですから、デザイン - サイズや使う木材の規模、加工方法 - のにも刺繍枠を考えるときと同じコンセプトで臨みます。

専用台の構造の仕上がりとしてイメージしたのは
- 具体的なサイズは使う人間の体格に合わせ
- 高さ調整できる構造にしたい
- 持ち運びが軽くでき
- 分解・組み立てができこと
- 組み立てた状態で足を引っかけたりしたとしても人を傷つけない(台の方が壊れるくらい)こと
そして、刺繍枠の使い勝手 - 枠に張られた布のどこに対しても刺繍糸を通す作業がしやすいこと - を目指さしたいのです。
MEMO:
音を立てない工法 (=釘を使わずに)で、分解・組み立てが可能な軽量の台。
それが目指す作品です。

“釘を使わない” で “分解・組み立て” ができるようにするには、台の脚、あるいは脚を兼ねた面としての構造を特定のパーツにしておいてボルトとナットでつなぐという方法で実現できそうです。
しかし、ボルトとナットで締めつけて組み立てるためにはスパナ、あるいはレンチという特殊工具がいつでも手もとになければならないということを意味しますし、保管管理しなくてはならないパーツが増えるということから、ちょっと敬遠したい構造になってしまいそうです。
一方、“高さ調節できるように” しようとするのはどの部分の高さかという問題があります。当初は台に置いた枠の布を張った面、つまり針を使う面の高さを調整できると便利ではないかと考えていたのですが、50×40cmという枠自体の大きさを考えると、枠を水平に置いた場合、針を使う場所が張った布の中央部分であっても上から見下ろすように身体を折らないと作業がしづらそうだということが分かりました。作業者側が低く、遠い奥側が高くなった傾斜があることが必要らしい - そんな結論に至ったのです。そこで、枠の高さではなく、枠の傾斜調節をどう実現するかという目標に切り替えたのでした。
- 台の枠構造をどう固定するか、そして
- 枠の傾斜(枠の奥側の高さ)をどう調節するか
固定と稼働を両立するのが今回の作品の目標になりました。
スケッチレベルのアイデアを見取り図にまとめてみると・・・。

組み立て・分解を可能にするための固定する構造:
- 台の左右の脚を枠構造にして、脚 後ろと2本の連結固定材、高さ調整枠、固定材 上前の3つの部品で組む構造にします
- この組み立てには釘やボルトは使わず、ほぞと切り欠きをかみ合わせるだけです
- 台の左右の脚はほぞと木工用接着剤で固定します
高さ調整を可能にするための可動の構造:
- 台の左右のゆがみに対する補強の意味から高さ調整枠はL字の金属プレートと木ねじで固定
(台の左右の脚と高さ調整枠をそれぞれ枠構造にして、その3つを組むイメージです) - 台の左右の脚と高さ調整枠を抜き差しができる長めのダボを通して固定します
椅子に座って使う構造ですから、高さは一番高いところで約100cm(1m)ほど。材料の長さを決めながら墨付けしていく際に、構造の細かなところに見直しが必要になるだろうと思いますが、さて、どんな作業になるでしょうか。
to be continued…