ちょっと意識してみてほしい、のこぎりの基本
のこぎりで木材を切るとき、墨線のどちら側を切るのがいいだろうと悩んだりすることがあるでしょうか?
のこぎりをうまく使おうとするときはきっと、
- うまくまっすぐに切るには
- 目指すサイズどおりの仕上がりになるように切るには
の2つのことを意識しているのではないかと思うのですが、どうですか?
実はその時点ですでに、墨線のどちらを切るかは決まっていると思います。要は、それをどのくらい意識して作業しているか。そこで、あらためて確認してみましょう - 墨線のどこを切っているかを。
目指すサイズ、墨線、のこぎりの切り幅
材料を切るというのは、目的のサイズどおりに仕上げるための作業の第1ステップです。サイズを決めて、そのサイズに合わせて墨付けをし、切る - 結論から言えば、仕上がりサイズの縁に合わせて墨線を引き、その墨線の縁に合わせて切るのが私の目安です。この例では墨線の左端から左が目指す仕上がりサイズです。
MEMO:
第1に、墨線をどう引いているかを確認してください。
この例の実寸は、墨線の幅は約0.2mm。墨線とのこぎりの刃の幅に挟まれた切りしろが約0.1mm。のこぎりの切り幅が1mmです。つまり、仕上がりサイズ(墨線の左端)から計算すると、実際に切っているのは0.3mm長めの位置(下図の”墨線の幅”+”切りしろ”)です。
これは私が、のこぎりで切った後、その角度や平面度を確認して仕上げるための余地を残そうとしているからです。
私の墨線の引き方のまま、墨線の真上を切るとどうなるでしょう。こぎりの刃の幅は墨線の幅の5倍ですから、単純計算では、残そうとするサイズより0.4mm短い材料を作ることになり、切り口の調整の余地はなくなってしまいます。この切りしろの残し方は、切り口をどれほど直線に、平らに切れるかという自分の自信に合わせて選ぶのが良いかと思います。
墨線のどこを切るか - 木材をどのように置いて、のこぎりをどう構え、動かすか、その時墨線とのこぎり、目線の位置関係がどうなっているかという身体的な要素はほとんどの人が同じではないかと思うのですが、私は右利きで、木材の仕上がり部分を身体の左側に置いて墨線の右側を切ります。仕上がりサイズ - 墨線 - のこぎりの加工線 と「右」「右」の原則です。(左利きの方では、のこぎりの加工線 - 墨線 - 仕上がりサイズという「左」「左」の位置原則になるだろうと思います)
MEMO:
第2に、自分の技量を踏まえて、どう仕上げるかをしっかりと計画しましょう。
もし、墨線のどこを切るべきだろうかと悩むことがあったら、切ることから考えるのではなくて、どう仕上げるか、どう残すかから考えてください。木工は、切り、削って作るものです。ですから、どう仕上げるか=どう残すかなのです。
- のこぎりの切り口をどれほど直線に、平らにして切ることができるか。
- その自分の力量に合わせて、仕上がりサイズに仕上げるための調整の余地を残すことを考慮して、
- 墨線の引き方を決め
- その墨線に対する刃の位置を決めるのです
もうお分かりかも知れませんが、実はこれはのこぎりだけの話しではありません。墨線のどこを / どこまで切るか・削るか - 墨線と加工線の関係 - というのは のみ も かんな も同じです。