マイターボックスを使ったちょっと特殊な加工
マイターボックスの使い方
マイターボックスは45°角など、一定の角度でのこぎりを使う切断作業を支援してくれるツール。墨付け位置と切断用の溝を合わせたあとは、のこ刃を溝にそって動かすだけで精度の高い切断作業ができます。
墨と溝、のこ刃の位置関係に気をつけるだけで、何度でも同じ仕上がりの小口ができあがるのですから、とても便利なものです。
マイターボックス自体、工作台に固定して使うようにボルトを通すための穴が開けられていることが多いと思います。
私が使っているものはさらにずれ動くことを防げるよう、固定する台にひっかけるため、底が鍵型になっています(左の写真のボックスの底、左下の小さな突起です)。
精度高く切断作業を行うためには、木材をクランプでボックスに固定すると良いのですが、プラスチック製のマイターボックスは変形を防ぐため、強化用の仕切りが何本も通っていると思います。
好きな場所にクランプを噛ませるという訳にはいかないことがあるので、クランプも何通りかのサイズのものを用意できるといいでしょう。
クランプを使って材料を固定するときには、材料に直接クランプをかけないように、いらない端材を挟むと材料を傷つけずにすみます。
作業台とマイターボックス、マイターボックスと材料 - それぞれの固定がしっかり適切にできれば、あとはのこぎりを動かすだけ。
ボックスの溝からのこ刃が外れないように、またボックスの溝に沿ってのこ刃が垂直さを保てるように気をつけて、切断すること自体を急がずにのこぎりを使うのがマイターボックスでの加工のコツです。
マイターボックスをうまく使うための 注意点
市販のマイターボックスで気をつけなければならないのは、のこぎりとの相性。特に、のこ刃のサイズとの相性です。
左の写真では7寸目 刃渡り225mmという片刃のゼットソーを使っています。
マイターボックスの方は2×4(ツウバイフォー)材もカットできるというもので、まっすぐに測ってみると幅が12.5mm。45°角に材料をセットしていますが、ボックス側の差し渡しが約180mm。
ほとんどのこ刃の長さのいっぱいになるので、ボックスの溝を外さないようにのこぎりを動かそうとすると、感覚的に、ストロークを通常より半分以下にするくらい細かく動かさなければなりません。
またこの例では、ボックス内側の深さ約50mmに対して、ゼットソーの刃の幅が一番広いところで測っても約60mmですから、ブレードを固定しているホルダー(のこぎりの刃を柄に固定している部品。写真の黒い部分)がボックスの縁にぶつかることがあります。
ブレードがボックスの枠にぶつかるような状態(材料が薄く、のこ刃の幅が狭いなど)では、切る材料の下に端材をはかせて位置を高くする工夫も必要です。切り口の角度にも影響しますから、はかせる端材のサイズにも注意が必要ですね。
ですから、「あわてずに」にです。
そしてお分かりでしょう。普通の切断作業とは違ってのこぎりが材料を噛みやすい角度を持たせることができません。
刃の先端を思うように下げられないということです。
材料が薄いほどその傾向が強くなりますから、何よりマイターボックスを使った作業は通常ののこぎりの作業とは少し違うと心得ておくことが必要です。
そして最後に覚えておきたいのが、のこぎりの刃にはあさりが付けられているということ。
切り屑を吐き出しやすくし、刃が木材を噛みやすくするために外に向かって反るように加工されているのがあさりですが、マイターボックスの溝は直線、底面に向かって直角にできていますから、常にのこ刃があたるように使うことになる溝の内側は傷つきやすいということを忘れないでください。マイターボックスを使い込むほどに溝の内側にのこ刃がひっかかるようなことはないか、気をつけてください。材料に対して垂直に切るという角度に狂いが出ることもあり得るということを知っておく必要があります。
MEMO:
マイターボックスは木製、あるいはプラスチック製ですから、消耗品と割り切って傷つき具合を確認しながら使いましょう。