人工知能への興味が自分の能力を意識するきっかけになる

人工知能に教えられる?

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出発点をどこに置くかによって人工知能の歴史の長さに若干の誤差があるようですが、かれこれ50年を超える歴史を積み重ねてきた人工知能の研究は、ここ10年前後、IT技術の基盤を支えているとも言われているようです。

インターネットでの活用を代表として、私たちが知らず知らずに恩恵を受け、使っているIT技術の中にどんな人工知能がどんなふうに生きているのか知りたくて、第一人者の一人と言われる松尾豊氏の『人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)』を読みました。

私たちの頭脳はどんな力を発揮できるか考えてみよう
(c) Can Stock Photo

私たちは自分の脳の働きをどれくらい意識しているのだろう、その能力をどれくらい活かせているのだろう - そうした疑問はもうすでに多くの人が時を変え、言葉を変えて語ってきたことかも知れません。何かむずかしい、大それたことを考えたり語ったりしようと思っているわけではありませんが、今の私たちの近くにあるデジタル技術を理解しようとするだけでも頭の体操になる興味深い話題がたくさんあるなと思うのです。

松尾氏の著書の中で、とても興味深い言葉に出会いました。”手書き文字認識”と呼ばれる技術を語っている一節です。

同じ「3」でもゆがんだり曲がったり、伸びたり縮んだりしているが、人間ならこの程度の表記のゆらぎは難なく「3」だと判別できるだろう。ところが、これがコンピューターには難しい。どういう画像なら「3」で、どういう画像なら「8」なのか、あるいは「5」なのか、ということを明示的にルールとして与えることは難しいからである。

(中略)

このデータセットでは、一つの手書き数字は28ピクセル×28ピクセル=784ピクセルの画像となっている(画像のデータとしてはとても小さい)。その画像が7万枚あって、それぞれどの数字にがいとするかという正解ラベルがつけられている。

(中略)

7万枚の画像をひたすら入力し続けるわけで、この作業にはとても時間がかかる。通常は数秒から、長いときは数日間かかることもある。

0(ゼロ)から9の10個の数字、その認識、判定のための訓練用、いわば基礎データ -MNISTと呼ばれるそうですが - となる手書きパターンが7万枚の画像で構成されているというのです。

形が一番単純と思われる数字で1文字平均7000枚の基礎データが必要だとすると、たとえば漢字のような形が複雑なものはどうなるでしょう。たとえば、常用漢字1900前後とすれば必要となる基礎データは最低でも13,000,000ということになるのでしょうか?

機械学習がいかに地道な作業の積み重ねで成り立っているかということもそうですが、それだけのパターン認識を自分の脳は行えているのだろうか、文字ひとつひとつを認識するために自分の脳にはそれほどたくさんの基礎データが蓄積されているのだろうかと感じます。

もし、それが私たちの脳の基本的な機能だよということなのだとしたら、自分の脳への愛着も高まりそうです^^;

人工知能の歴史を学びながら自分の頭脳の使い方を考える

それに、時間をかけて積み重ね、蓄積した基礎データの使い方のヒントも得られるように思います

人間も学習しているときは時間がかかるが、学習した成果を使って判断するときは一瞬でできる。この手書きの文字が「3」を表すとわかるようになるまで、生まれてから数年かかるが、いったんわかってしまえば、次からは見た瞬間「これは3だ」とわかる。

余談になるが、日本は高齢化社会になってきており、高齢の方の学習能力は、残念ながら若者に劣る。したがって、新しいことを学習するのは大変だ。一方で、判断・識別する能力は、長い年月をかけてつくられており、しかも使う際には簡単に早く使うことができる。

高齢者の頭脳にとって新しい学習をすることにむずかしさがあるとすれば、若い人たちの柔軟な頭脳と上手に役割分担する道を探すことが自分の能力を活かすことにもつながるのだろうと感じます。

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MNISTのデータを使った学習を積む工程が、人工知能の機械学習にとってはエレメントのひとつに過ぎず、その成果が、私もお気に入りアプリとして紹介しているGoogle翻訳の手書き文字認識のような場面で活かされているとすれば、人工知能が今目指している方向性やゴールはこれまでとは比べものにならないほど先進的なものだろうと思います。

私たちのように、高齢者の頭脳、より若い人たちの頭脳の性質や長所を活かす組み合わせなどという次元にどれほどの存在価値が残っているのかが危ぶまれるようにも思います。たとえば高齢者の判断力が優れたものであるとしても、その判断力を実現する行動力(バイタリティやモチベーション)などの別の領域にも加齢による衰えが出ていないとは限らないからです。

ただ、そうした悲観的な予測だけではない可能性を私たちの頭脳は秘めている - そのことを感じさせてくれる人工知能の歴史や可能性には、やはり大きな魅力を感じるのです。

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