映像になったかけがえのないメッセージ 『世界から猫が消えたなら』

限りのある命だからこそ

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『世界から猫が消えたなら』 - それは、映像になってもやっぱり、とても切なくてとても優しい物語でした。

いくつもの喜び、たったひとつの悲しみ

母親が主人公に送った言葉があります。

あなたの素敵なところ、これだけを忘れずに生きてください。
それさえあればあなたも幸せだし、あなたの周りの人もきっと幸せだと思うから。
いままでありがとう。そしてさようなら。
いつまでもあなたの素敵なところが、そのままでありますように。

bookmarker of the book子ども見つめる親の心にはどこかみんな、こんな気持ちが息づいているはず。
その気持ちを、こんなふうに言葉にして子どもに伝えることができたなら、どんなに素敵なことでしょう - そう祈りたくなるような、とても優しい別れの言葉です。

私がしおりをはさんでいたそのページは、映像になってもやはり、とても切なくて、この物語の一番あたたかなシーンです。

主人公の人生は、

生まれてきてくれてありがとう

という父親の言葉に迎えられてはじまり、

私が死ぬまでにしたいことは、全部あなたのためにしたいことだったのです。

と最後の言葉を綴る母親に見守られてきた - それがこの物語なのです。
主人公は母親を思って考えます。

母さん。
自分の趣味とかあったのかな? 自分の時間はあったのかな?
やりたいこと、将来の夢、あったのかな?
せめてお礼が言いたかった。ありがとうって。ひと言も言えなかった。
なんだか照れくさくて花のひとつも買ってあげなかった。
なんで。なんでそんな簡単なこともできなかったんだろう。
なんで、母さんがやがてこの世界から消えることを、あのときの僕は想像できなかったのだろう。

母との別れを目前にして悲しみでいっぱいになってしまう主人公の姿は、別れの悲しみに心を奪われたままでは、その悲しみと背中合わせにある喜びを思うことができなくなってしまう - そう語りかけてくれているようです。

命には限りがあって、別れを避けることはどうしてもできないのだと分かっているからこそ、その時を大切に過ごしたい。

ただ、大切に過ごす時間があるほど、大切な思い出が残り、たくさんの思い出があればあるほど、悲しみは深くなる - そんな覚悟を私たちに求めているようでもあります。

けれど、その主人公を見つめてきた母親は、たくさんの喜びを感じながら生きてきた - そう信じることもできます。だからこそ、

「何かを得るためには、何かを失わなくてはね」
母さんの言葉がよみがえってくる。

とわが子に教えることができたのだろうと感じるのです。

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原作を読んでいるからこそ、映像に物語が重なる。けれど、映像や音の説得力は私たちの五感に直接ふれてくるものですから、物語を肌触りとして受け止めてしまう。

そんな映像のむずかしさを思ってもなお、この映画を見てよかったと思える余韻が残っています。

だからもう一度、この物語を読んでみようと思います。

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