メディアの進歩で情報は文字から音声に変わるのか

情報を、印刷・発行する時代から、メディアの違いを超えて発信する時代へ

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かつては紙と目と手で制作していた、製品に付属する取扱説明書のような資料 - その製作工程はたぶん、内容確認や打ち合わせなどの連絡に使われるeメールをはじめとして、100%に近い割合で、パソコンとそこにインストールされたソフトウェアを使って進められているのだろうと思っているのですが、どうでしょう。

そして、取扱説明書の制作とは一見、まったくつながらないように思える携帯電話 - それもiPhone、スマートフォンの世界。以前は年賀はがきで出していた年賀状を年賀メールとして出すという選択肢が生まれ、そこで使われる新年のあいさつはどんな言葉で書かれるのだろう、と思ったりしていますが、取扱説明書のような資料をそうしたモバイル機器のユーザーに向けて発信するという環境が育ち始めています。もっとも、Kindle Paperwhiteなどのように、書籍をスマホやタブレットで読むのはもう新しいことではないと言ってもいいように思うくらいですから、取り立てて言うことではないのかも知れませんが、印刷物として発行していたものを電子情報として送信する - やはりどこか隔世の感を感じるのは私だけでしょうか?

 

クロスメディア(Cross-Media)の前の
ワンソースマルチユース(One Source Multi Use)という技術

取扱説明書やカタログなどの資料を制作しようとする際、ひとつのテキスト、ひとつの画像 - 情報 - を使う目的に合わせて出力内容やレイアウトを切り替えて使う、ワンソースマルチユース(One Source Multi Use)という文書作成、文書管理のための技術コンセプト。言い換えれば、ひとつの情報を再利用することで資料作成の工程、時間、ひいては費用を圧縮する、つまり制作の効率化を目的にした技術の時代はかれこれ25年ほども昔に生まれた技術だったでしょうか。

ワンソースマルチユースの第1段階は、資料制作にかかる時間と費用を圧縮することで進んできたように思います。

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ある製品にいくつかのモデルがあり、それぞれのモデル用の取扱説明書を作成しようとする、そんな例を考えると分かりやすいと思います。たとえば、モデルA, B, Cがあって、一部、スイッチのデザインが違ったり、オプション設定の機能の数と内容に違いがあったりする以外、基本的な操作手順はほぼ同じ - もっと身近で日常的な例で言えば、iPhone 5, 5s, 5c の取扱説明書のようなイメージを持つと良いでしょうか。

おおもとのマスターとなる取扱説明書データにモデルA, B両方の情報を書き込んでおき、A, Bどちらの取扱説明書を出力するかを切り替えるだけで2つのモデルの資料を同時に作成できるうようにする - ある特定の業界、特定の製品に限った動きであろうと思いますが、思い切ってまとめれば、そんな姿をターゲットに資料制作は電子化され、進化してきています。

 

そして
ワンソースマルチユースの第2段階は、おおもとの情報データをもとに、どの発行形態 - たとえば、印刷物、PDF、Webなど - に使う情報化の識別をつけ、出力先の発行形態を切り替えるだけで複数の発行形態のページイメージを作成できるようにする、文字どおり第1段階の発展形として進化してきました。

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クロスメディア(Cross-Media)への発展

ワンソースマルチユースはすでに複数の発行形態に出力 - 情報を整理し、レイアウトして出力 - する技術として、資料制作の効率化という目的のもとに一定の進化をしてきたと思うのですが、 iPhoneやスマートフォンの性能の高まりと並行して、ワンソースマルチユースの成果をメディアを越えて活用しよう、まとめてゆこうとするクロスメディアというコンセプトが生まれてきたのです。

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メディアと言うからには、デバイスとデータの種類、その両方をさすことになりますから、取扱説明書=印刷物という固定概念は通用しません。メディアを画像や音声、動画と言った情報形態ととらえれば、取扱説明書という情報は文字になると限ったことではないのです。iPhoneの取扱説明書が印刷物としてパッケージに添付されなくなり、Webベースの環境で読むようになる。iPhoneの使い方を調べたいと思ったなら、iPhone自体を使って取扱説明書を読んでくださいという新しいコンセプトは、製品の意味さえ変えるもののように感じます。

環境保護の観点から印刷物としての取扱説明書を廃止する」 - 時代の必要性と言えばあまりに当然のことのようです。そして、そうした環境を支えられるのは私たちユーザーに他ならないという、私の所感を前回綴りました。

クロスメディアの未来?

言い換えれば、iPhoneの取扱説明書は、クロスメディアのほんの一例にすぎないのではないか。たとえば、アプリの呼び出しや検索といった機能や性能を今の文字で説明するバージョンから音声で、つまりオーディオ型取扱説明書として完成し、メディアの違いを越えることができたとすれば、目の不自由な人、手の不自由な人にさえ使えるiPhoneが可能になるのではないかとさえ感じています。

 

 

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