使う言葉にさえ現れるゼネレーションギャップ

電話がなったので受話器を取ると、若い男の声がいった。
「佐藤さんでよかったでしょうか?」
反射的にムッとして、よかった? よかったとはどういう意図から出た言葉なのか? と訊きたくなった。ついぶっきらぼうな調子になって「ハイ」とだけいう。
そもそも我が国における電話のやりとりは、電話口に相手を呼び出すと、「✕✕さんですか?」(丁寧にいうとしたら「✕✕さんのお宅でございますか?」)
というのうが常識である。

(中略)

いったいいつ、どこで、誰が、なぜ「よかったでしょうか」なんていういい方を普及させようとしたのだろう。百歩譲って、
「佐藤さんでよろしいでしょうか?」
というのはまあまあ許せる。なにゆえ「よかった」と過去形にするのか? どう考えてもわけがわからない。不可解だ。

出典:佐藤愛子さん 著・「かくて老兵は消えてゆく (文春文庫)

この一節を読んでいると、佐藤さんには “バイト敬語” (あるいは バイト語)と呼ばれる言葉があるんです… という説明さえ遠慮しなくてはいけないかな?^^;

佐藤さんの言われるとおり、私も不思議な言葉ができたものだと感じた年代の人間ですが、考えてみると、最初の違和感はアクセントの違いから感じていたように思います。

テレビのアナウンサーが使うのは標準語! という感覚があったのですが、その人たちも - ということはテレビ界の基準がということでしょうが - 使うようになってきた今風の? アクセントやイントネーション。
たとえば、

従来型の発音 新型の発音
ラブ
ーファー サーファー
ラマ ドラマ

私が違和感を感じずに受け取れるラブ(ディスコクラブのクラブですね)やーファーという言葉は言葉の頭の部分にアクセントがあるタイプです。それに対して、新型の発音は多くの場合アクセントというものを持たないケースが多いのですね。

アクセントをどこにも置かず、音が上がったり下がったりしないように意識して発音すると新型の”サーファー”ができあがりです^^

この私には平板に聞こえるクラブやドラマという発音を耳にしたとき感じたのは、新型の発音をする人たちは をどう発音するのだろう?? ということでしたが、その発想って、佐藤さん的だったのかも知れませんね。

不可解にはまたこうのがある。集金人が来た場合や買い物をした時の勘定台でのこと。代金を渡すと受け取りながらこういう。
「一万円からいただきます」
一万円から? 「から」とは何です、といいたくなる。「一万円お預かりします」という昔からのいい方があるのに、なぜわざわざ文法を無視して新造語を使うのだろう? まだ社会に出ていくらも経っていないような若者に多いのは、それがマニュアルとして上から指導されているからだろう。

マニュアルどおり!? ということはよく耳にすることですが、そのマニュアルを作ったのはどこの誰でしょうね?

 

たとえば…

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「お待たせいたしました。コーヒーになります。お砂糖のほうはお使いになりますか?」 というタイプの言葉使いと、新型の発音を組み合わせて話されると相当手ごわそうに感じてしまうのは私だけではないような気がします。

私と言えば、なまじ翻訳で日本語を書く仕事をしたりしていますから、余計に過敏? になっているかも知れません。ただ、40歳前後の人が書く翻訳(日本語)に、「になります」を見つけてしまったりするとがっくりきます^^;
今のペースでもう少し経つと、新聞記事や雑誌、小説を読んでもこの「になります」を目にする機会が増えるようになるかも知れないと思ったりして。

新しい言葉とか言い回しには敏感であろうとしているのですから、がっくりしていないで積極的に使えるようにもならなければいけないのかも知れませんね。