終活 - 看取りという名のそのとき

必ず来るはずの、いつ来るか分からないそのとき

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「自分が自分でいられる間に二人に伝えておきたい。これまで自分のために色々としてくれ、支えてくれて本当に感謝している。ありがとう。」
ホスピスに転院してほとんどすぐ、母が私たち夫婦に向かって言った言葉 -

それは母は母なりに、ここが自分の最後の場所なのだと悟ったということを言っていた言葉だったかも知れません。そして私は私で、母のその言葉を聞いて別れは済んだ… どこかそんな、覚悟のようなものを感じていたようにも思います。

ただその覚悟にも似た感覚とは裏腹に、実際の看取りを私自身は十分には分かっていなかったと言わざるを得ない経験でした。心を決めてしっかりと待っていなければ看取ることはできない… 私の経験はそんなものだったと言えるように思います。

3週間に刻んだ別れへの時間

母に残された時間は確かにもう長くはない… けれどその日、その時がいつ来るものなのかは分からない - そんなふうに思うようになったのは、今思えば亡くなる3週間ほど前。

腹部と下肢に心配になるほどの浮腫みがあって、母本人はベッドの上に体を起こすこともしにくくなって、主治医からは 「こうなると最期までそう遠いことではないのではないかと思います」 と教えられていました。

その頃から、痛みに耐えかねているような様子で目を閉じて過ごす時間が少しずつ増え、治療をしている時には意識して断ることが多かった痛み止めの投与を素直に受け入れるようになりました。それが亡くなる2週間ほど前。

さらに1週間前になると、痛み止めの薬のせいか、がんセンターに入院していたときに経験した、けれど様子が少し違う譫妄(せんもう)のような振る舞いが見られるようになりました。

目を見て話しをしてはいても、明らかに母とは違う人格と話しをしているという感じが強くなり、「私からお前たちに良くないものが移ってしまうからもう来なくていい」 そんなことを言うようにもなりました。

譫妄のような、別の人格の合間に時おり普通の母が戻ってくるのは、お風呂にいれてもらってさっぱりとし、痛みを感じることのないときでした。
そして最期は予告なくやってきたのです。

出典:自宅で看取るいいお医者さん  家族と平穏死をかなえる完全ガイド (週刊朝日ムック)

『自宅で看取るいいお医者さん』 に示されている 「看取りが近づいた際の症状と正しい対処法」 を読んでみると、確かに、私たちはこういうことを知っておく必要があると感じます。
問題は…

看取りが近づいてくると出やすい症状があります(一覧参照)。なかでも高い確率で注意力や思考力の低下、意識レベルの変動などが見られます。

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と言われても、私たちにはこれがそうだとは分からないことが多いこと。

私が書いたのが3週間なら、この『自宅で看取るいいお医者さん』 に示されている症状は何日くらいのものでしょう。できることなら、それをちゃんと知っておけたらいいなと思います。

「団塊世代が75歳以上になる2025年には、病院で死にたくても死ねないお年寄りが増える。今から、介護施設での見取り体制を整えないといけない」。そんな強い思いが、小澤医師を突き動かしている。

出典:「日本で老いて死ぬということ―2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか

そんな警告もあるくらいですから。

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