そのとき私たちは自分の生命とどう向き合えるだろう

患者が増えたのか、医療技術が進歩したのか

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母のがん闘病に付き添っていたとき、私たちが頼っていたのはがんを専門に扱う大学病院でした。

検査や治療などに必要な設備が充実している病院で診てもらうことが安心を支えてくれることにもなるだろうなと感じていたことを思い出します。
そして、その病院で一番強く感じていたのは、がん患者としてその病院を訪れる人の数の多さでした。

両親に抱いてもらっているのが安心だろうなと感じる幼い子どもさんから、病んでいなくても混んだ待合室で待ち続けるのが体力的にも大変だろうなと思わせる高齢の方まで、本当にたくさんの人が患者として病院の中を行き来していたのです。

そして -
インフォームドコンセントを考えた記事の中でも綴ったように、がんを告知するかしないかという選択肢はもう過去のもの!? と思ってしまうほど、すんなりと “ステージで言えばいくつだからできるだけ早く手術しないといけないね…” と診断結果を聞かされたのも、がんが特別な病気ではなくなっていることの現れなのかも知れないとも思ったものでした。

がんと聞いてショックを受ける時代が、少しずつ遠のいていく実感がある。

出典:五木 寛之 氏著・「下山の思想 (幻冬舎新書)

私も、母も、診断を聞いて少なからずショックを感じた - と思っているのですが、考えてみると、患者が増えたというのではなく、がんを発見する・補足する技術が進歩し、しかも保険の適用を受けたり、検査そのものも受けやすくなっているということの現れなんだろうと思うのです。

 

私たちの生命の真ん中にあるもの

もしもそれが自分だったら … 当時はそんなふうに考える余裕はありませんでした。

どう支えることができるのか - 片道50kmという地理的な条件をどう超えることができるだろう… 経済的な耐久性は大丈夫だろうか… 自分や家族の心と体の健康をしっかり守って、安心して母に付き添えるようにしなければ… そんなふうに、付き添う家族としてのことばかり考えていました。

そして一方、母はと言えば、指折り数えるようにして術後の日数を数え、回復の手ごたえを得たいということばかりを考えていたように思います。

五木さんは同じ著書の中、私たちが「生」や「死」をどんなふうに意識しているか… という話しの中でこんなことを語っています。

人間はみずからが欲するものしか見ないのだ。私たちは広角レンズよりもなお広く、世界と現実の隅々まで見渡しているかのように錯覚している。
しかし、それは明らかに錯覚である。
人間というものは、自分が欲する現実しか見ていない。レンズの焦点のようなものだ。何か一点につよくピントを合わせる。するとその問題だけがクリアに浮かび上がる。
すると、背景や周囲はおのずとボカシ効果が生まれる
したがって全体を見渡せているつもりでいても、じつは見たいものしか見ていない。
心の欲しないものは焦点外にあって、ぼんやりと映っているだけなのだ。

生きるということに一生懸命であれば死というものは自然とかすんだものになると。

 

そして、この話しはアラン&バーバラ・ピーズの両氏が書いた「自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング」という著書の中に綴られている、私たちの脳の構造・働きを語った一節を思い出させます。

● 私たちは「自分が信じること」しか確信を深めない

RASは、私たちの信念を形づくる力を持つことも、科学者たちの研究からわかってきている。私たちが何を信じていようと、信じることへの確信をますます深める情報だけを選び出してくるという。つまり信じること、考えることの内容は、問題ではない。RASは、私たちが信じること、考えることだけに注意を集中し、信じると決めた道へ向かうための情報だけを集めて、それ以外の情報はすべて排除する。

私たちの脳は考えたいと思うもの・ことにフォーカスするようにできている。集中は集中を高め・深めるのだというのです。脳は考えたいと思うもの・ことにフォーカスするようにできている - とすれば、フォーカスしようという対象を私たちはどうやって選んでいるのでしょう?

早く・もっと良くならないか… そうやって、がんと同居しているという意識の囚われの身になってしまっていた母に、今日を生きているということを感じられるようになってほしいと願ったものでした。

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どうすればそんな切り替えができたのでしょう? 今となっても考えずにはいられないのです。

それは次は自分かも知れないという怖れのような感覚があるからでもあります。
それが自分ならばまだいい、家族でなければ… そんな感覚もあります。

集中するようにできているのが私たち自身 - の脳 - なのだとしたら、自分の見たいものに集中するにはどうすればいいでしょうね?

 

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