FrameMakerという名のソフトウェア

古くて新しいその機能

10年20年も前に学んだ技術、ソフトウェアがバージョンアップを繰り返しながら今もまだ健在だというのは、なんだか微笑ましいような不思議なような。

そのソフトウェアはFrameMakerという名前で、ご存知の方も多いでしょう。
1990年前後から2000年あたり、取扱説明書や製品の保守・点検に関する手順書など、メーカーがユーザーや技術者のために必要な情報をまとめてマニュアルを発行する - その情報のまとめ方はもちろん、編集から印刷、そして必要ならばXMLのような特殊な形式のデータを作成したり保存する作業も支援してくれる強力なシステムを提供するソフトウェアです。

強力なソフトウェア - それは、それまで別々に運用されていた

  • 原稿作成
  • 入力
  • 編集
  • 校正
  • 印刷(発行)

のようないくつかの工程をすべて扱えるように設計されている、
しかも、目の前のマニュアル1冊はもちろん、その過去と将来の内容の管理まで含めた情報の運用を総合的にカバーするのです。

 

FrameMakerの「強力さ」が意味したもの - マニュアルの役割り

このFrameMakerというソフトウェアの強力さは、もともと産業世界が求めていたマニュアルというものがどんなものだったかをはっきり表しています。

「取扱説明書は製品の一部」 - つまり、その部品がなければ製品そのものが成り立たないと言われた時代、マニュアルは製品と使う人をつなぐ情報として位置づけられていました。

  • 製品の調子が悪くて故障ではないかと思われるときにはどうすればいいのか
  • 故障だと分かったらどこに連絡すればいいのか
  • 交換や修理を依頼するとなったら
    • 製品の送付はどうすればいいのか
    • その時の費用はどうなるのか
  • マニュアル自体をどう利用すれば製品がより良く分かるのか
    などなど

それはそれはたくさんの情報を提供して、使う人の利益を守ろうとしていたのです。
使う人の利益を守ることで製品を届ける側の社会的な責任を果たし、信頼を確保する - マニュアルにはそんな役割があったのです。

マニュアルの役割りをカバーしようとしたソフトウェアの機能

言い換えれば、FrameMakerを使いこなすには、

  • どんな機能・責任・役割りを持ったマニュアルを作ろうとしているのか
    (マニュアル発行のコンセプト)

を理解することがとても役に立つのです。

マニュアルが備えていてほしい機能、それは製品を使うユーザーの立場になれば誰にでもよく分かるものです。そして、FrameMakerは、そのマニュアルに求められる機能をパーツにして持っているわけです。
ユーザーに伝えたい情報(説明)をFrameMakerで表現する - そのためにはFrameMakerを知らなくては… と考えがちですが、実はそうではありません。

FrameMakerを知ってからマニュアルを作ると言わんばかりの作業は本末転倒で、文法が分からないと英語が話せないと言っているようなもの。

本当は、ユーザーに伝えたい情報(説明)をどう表現しようか… そのことに集中し、言ってみればマニュアルのデザインがしっかりでき上がったら、それをFrameMakerに渡していけばいいのです。

FrameMakerの強力さは機能の複雑さ?!

ただそのFrameMakerへの移管が複雑で分かりずらく、暗礁に乗り上げやすい。
実はこれも、表現する手順 - その文化が違うことが原因です。

普段私たちは、ものを書くとき、それぞれの癖や特徴はあるでしょうが、「まず内容ありき」で書き始めるでしょう?

ところが、FrameMakerで作るマニュアルというのは、完成度が高いほど、SGMLやXMLと同じように「まず定義ありき」なのです。分かりやすく言ってみれば

  • どんな文字コードを使うか
  • どんな構造にするか
    • 見出しはいくつ? その種類は?
    • 説明のタイプはいくつ? その種類は? その相互関係は?

要するにFrameMakerという名の文法です。

つまりこうです。

  1. マニュアルのデザインを完成させる
  2. マニュアルの内容をFrameMakerに置き換える移管を行う
    移管の作業はFrameMakerで書く(表現する)ための手順にまとめなくてはなりません
  3. マニュアルの内容を作る(原稿作成)+FrameMakerに移管する
    の役割りを明確にした分担作業を運用する

 

FrameMaker & マニュアル作り と 世界のデジタル化の関係は?

FrameMakerを使った正確で効率的なマニュアル(資料)作りは、どれだけ今のデジタル化社会に対応していけるだろうか…

私が相手にしている分野や仕事を見る限り、この10年前後、FrameMakerで作られたマニュアルに出会う機会が減ってきています。

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  • マニュアルの役割りや意味が変わってきている

ということと同時に

  • FrameMakerのマニュアル作りの手順は変わっていないのではないか
  • FrameMakerは “新しいタイプ” のマニュアルを作れるだろうか

と感じるのです。

新しいタイプのマニュアルってどんなものでしょう?
もう少し目を凝らして見まわしてみようと思うのです。