自動車かモビリティか - 東京モーターショー2017

ドイツ、フランス、スウェーデン、そして日本。出展しているメーカー、ブランドにアメリカやイタリア、イギリス、あるいは韓国などが見えなくて少しさみしいんじゃないのかなと想像していたのですが、仕事を調節して出向きアフター4*の夜専用チケットで見学した東京モーターショー(TMS)2017は、通路も会場内も人の流れが途切れない感じでちょっとびっくり! しました。

この週末5日までの3連休はもっと盛り上がっていることでしょうね。

みなさんはご覧らになりましたか?^^

ticket-information TMS 2017
出展: TMS 2017 ホームページのチケット情報

未来志向、新技術との融合を感じた2015

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2015年、東京モーターショーのテーマは
Your heart will race. - きっと、あなたのココロが走り出す。-
そして今年、2017年のテーマは
BEYOND THE MOTOR - 世界を、ここから動かそう。

少し振り返ってみると、年ごとのテーマを掲げるようになったのが2005年。その年は “Driving Tomorrow!” from Tokyo - みんながココロに描いてる、くるまのすべてに新提案。- をテーマとしていましたから、新しい世紀に入ってから、自動車業界は明日を目指し・明日を探しながら走ってきているんだなと感じます。

ただ、2015年にはConnectedとか、Sustainable(あるいは Sustainability)といった言葉が合言葉のように聞こえてくる感じがしていました。

自動車と世界のつながり - 自動車が人と人、そのつながりの中心になれるのですよ…
あるいは、より未来を見据えた自動車社会、環境への配慮を忘れない自動車業界でいようとしているのです…

個人的にはそんなメッセージを前面に感じたものでした。

普段、翻訳を通して接している自動車やメーカーが発する情報を見ても、そんな色調が強いと感じていました。

確かな今日を確かめようとしている2017?

TMS2017_PorscheTMS 2017 のテーマの向こう側

Mobility という言葉がテーマに使われたのは2011年12月に開催された第42回の東京モーターショー。
初代のiPhoneが発売されたのが2007年でしたから、そのモバイル技術と一体化しようとしながら自動車はモビリティに変化しようとしている - そんな感触を持って新しいモデルや技術の変化、発展の様子を見ていました。

自動車ではなく、モビリティとしての完成度が上がっている - 2015年の会場で強く感じたConnectedという言葉にそんなニュアンスがあったように思うのです。

USBやBluetooth、iPhoneやスマートフォンの電話+インターネットを使った技術を取り込んだあと、(少なくとも日本で見ている限りは)自動車は電気化+自動運転の技術を発展させようとしているように見えます。

ただ、TMS 2017 の会場に並べられたモデルの何パーセントが - 電気やハイブリッドではなく - 「無鉛プレミアムガソリン」をエネルギーとすると説明されていたでしょう?

確かに、ブレーキ回生の技術を搭載した電気をエネルギーとするモデルも展示はされていました。
けれどもう一方の、自動運転が象徴的に扱われるような Passive Safety, Active Safety の新しい形をはっきり感じさせてくれる展示が乏しいように感じたのは私だけだったでしょうか?

電化、自動運転、あるいは安全性 - そのどの点でも TMS 2017 には強いアピールを感じられない。そんな余韻が残っています。

その感覚で TMS 2017 のテーマ BEYOND THE MOTOR を見ると、あることに気がつきます。
ENGINE とは言わずに MOTOR です。これがドイツ語なら、どちらも MOTOR。つまり、電気自動車のモーターか、ガソリンやディーゼルで動くエンジンか、文字上は見分けはつきません。

私たちは翻訳の現場でよく double meaning (二重の重なった意味を持つ言葉)ということを言います。
だから、これがドイツ語だったとしたら、「エンジンを越え、モーターを越えて」、「エンジンの時代、モーターの時代を越えたその向こう側」というニュアンスを感じていることでしょう。

この英語のテーマは、直訳すると「モーターを越えて」とか「モーターのその向こう側」という言葉になるでしょう。

つまり、TMS 2017 は、Connected + Sustainable (Sustainability) のブレンドとかその先の未来というより、、メーカーもブランドも、「モーターを導入したあとの自動車として何が提言できるか」 - そう自問している、そして私たちに「モーターを導入したあとの自動車に何を望むか」と問いかけているように感じたのです。

TMS2017

自動車とモビリティには違いがあるのか?

手を離して走ることはクルマに任せる… そんな未来形があっても不思議ではないだろうと思います。
Passive Safety, Active Safety+自動走行を一体化した、フルオート+無事故を目指す技術の研究・開発も進んでいるといいます。

そしてその技術がエネルギー問題へのソリューションも併せ持つと… フルオートで走る電気自動車 のような姿が浮かんできます。

AIというもうひとつのソリューションも忘れてはいけないでしょうね。渋滞回避や疲労防止・事故抑止のためにドライバーに休憩を促し、休憩できる場所も探してくれる…。

私は、自動車業界の翻訳に携わる人間ですが - いいえ、だからこそなのかも知れませんが、たとえば「エキゾーストノート」という言葉が辞書から薄れていく過程を見ているような感覚を持つことがあります。

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フェラーリやポルシェ、ランチャやジャガー。アルファロメオ。ダッジ バイパー、もちろんスープラやスカイラインGTも魅力的なエキゾーストサウンドのクルマだった?! と思います。
サウンドはひとつの例に過ぎないように思いますが、ハンドルを握り、走らせる - ドライブする - 楽しさがクルマの魅力のひとつだったように思うのです。

ハンドルを握り、走らせる -そんな自動車に求められていたもののバランスが少しずつ変わっている、それは Mobility という言葉が使われていた2011年のころから顕著になっていたのかも知れませんね。

  • いかに環境に優しく
  • いかに効率的にものを運ぶか・移動するか

TOYOTA が掲げる Fun to Drive や BMW が掲げる Freude am Fahren も、AUDI が掲げる Vorsprung durch Technik も、ドライバーに近い・ドライバーのためだけではない提案を探してくれている - そんな気がしています。

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