『君の名は。』 - バーチャル&リアリティの不思議で素敵なつながり

“つながり” って何だろう

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読み進めていかないと、
みつは
の二人の世界がどんなふうにつながっているのか分からない…

二人の心はもとのままらしいけれど、二人の体は入れ替わってしまっている。その二人の体も、どんなふうにつながっているのか分からない…

だから、どんどん読み進めていかないと。

そして私たちは 、だんだんと理解する 。立花瀧 ─ ─瀧くんは 、東京に住む同じ歳の高校生で 、ど田舎暮らしの宮水三葉との入れ替わりは不定期で 、週に二 、三度 、ふいに訪れる 。トリガ ーは眠ること 、原因は不明。

出典:新海誠 氏著・「小説 君の名は。 (角川文庫)

どんどん読み進めていきたくなるように、読み進めて行けるように、短い文節がつながって、物語を積み上げていく。
編み上げる物語じゃなくて、小さなピースを積み上げていく物語。そんな感じではじまるお話しです。

Kindle版で読もうとすると、読み終えるのにおよそ2.5時間ほどの時間がの表示が出ますから、映画で見るより文字でたどる方が時間がかかるはずですが、文字で綴った「君の名は」の方が流れていくストーリーの速度がはるかに速い… そんな気がします。

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(c) Can Stock Photo / kentoh

バーチャルでもあり現実でもあり

(私を含めた)たくさんの人たちにとって日常の必需品になっているように見えるスマホが、二人の主人公をつないでいる - そのことを意識して見てみると、「君の名は。」のタイトルの意味が何となく感じられるような気もします。

SNSとかインターネットという言葉は物語の中に出ては来ない。けれど、主人公たちのつながりを私たちはちゃんと感じることができるようになっている。

スマホの小さなディスプレイ越し、そして直接会ったことのない相手。けれど、文字という形の言葉をかわして、確かに相手を感じる - バーチャル&リアリティというような言葉がもう過去のものになりはじめているくらい、私たちはそういうつながりの意味をちゃんと共有できていますね。

けれど、この主人公たちのつながりは、時間も空間も一緒。
二人の体が入れ替わってしまうのも、二人の間に3年の時間差があるのも、すれ違ったことをはっきり感じるのに相手が見えないのも、そんなバーチャル&リアリティなつながりの二人だからこそ - そして不思議なことに、何か、どこか変だよ?! とつっこみを入れるのを忘れてしまうくらい、自然でもあるのです。

時間の違いを乗り越えることができるのはスマホの小さな窓。
場所の違いを乗り越えることができるのは自分たちの体。

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いくつものもの、何人もの人が複雑にからみあった物語だから、読み終えても、あのときは? このときは? … 二人はそれぞれどんなだったっけ? と戻ってみたくなるのに、物語をたどっているその時には、二人の世界の速度に乗って前へ前へと進んでいる…

映像で見たときと違うのは、「別のエンディングはなかったかな?」みたいな、ちょっと畏れ多いことを思ったりしているのは、文字でたどったあとだからかも知れません。

たくさんの人たちと町ひとつを巻き込んだ、隕石落下という恐ろしい自然現象の記録や歴史を二人は変えてしまうことができたのか? スマホに残した二人の言葉がスマホの画面から消えてしまっても、交わした互いの名前が思い出せなくなっても、確かにこの人だと分かる - 二人の間にあった3年の時間差がなくなったとき、人と人も、時間も場所も、過去や現在、そして未来だってつながっている、その境目は本当は誰にも分からない!? そう言われているように感じます。

 

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