分かっているようで分かっていない脳の働き

やはり年齢を重ねることで、脳が衰えて記憶力が悪くなるのでしょうか? それとも、それは単なく錯覚にすぎないのでしょうか?
結論をいうと、どちらも正解ではありません。

(中略)

・・・人は年齢を重ねても決して”記憶力”そのものが落ちるわけではないということです。では、なぜ年をとると物忘れが激しくなるのか。
それはこうです。脳の記憶を保管するデータベースを”箱”にたとえるなら、箱の容量自体は変わらないものの、その”入り口”が狭くなるからです。入り口が狭くなることで、ものを入れづらくなる。だから年をとるとものが覚えられないというよりも、そもそも脳がものをあまり覚えようとしなくなるのです。

出典:中野信子氏 著・「あなたの脳のしつけ方

もの忘れは脳が機能しなくなるわけではない!?? と聞くとひと安心。思わず喜んでしまいますが…
「脳があまり覚えようとしなくなる」? と聞くと、なんだやっぱりそうなのか… というがっかり感も感じますね^^;

離せば分かる? お年頃?? というキャッチコピーではないですが、老眼(老視)のような体に現れる加齢による症状を経験する時期と、物忘れを意識するようになる時期というのはあまり変わりがありませんから、余計に納得してしまうのですよね。

脳も年を取って働きが鈍くなるんだ… と。

 

なぜ記憶の箱の入り口が狭くなるのでしょう。集中力の章でも触れましたが、脳を動かすにはかなりの酸素と栄養が必要です。したがって、できることなら余計な動きは省略し、できるだけリソースを節約したい。だから年齢を重ねてさまざまな記憶が箱を満たすようになると、新しい経験に対して「これはもう必要な情報ではない」と判断して記憶の箱に入れないようにするのです。

若い時には意識しなくてもできていた覚えるという脳の活動 - つまり、脳自体が持ち主の私たちの命令を待つことなく、触れるものを片っ端から吸い上げ、覚えようとしていた!? ように感じていますよね。

だから、もう満杯! これからは節約モードに入るからね!? という反応が脳の自然な姿だとしても、要するに年取ったってことだよね? と思ってしまいます。

それに、物覚えが悪くなるという感覚思い出せなくなるという2つの症状が重なっているものだから、ショックはダブルでやって来て、
INPUT & OUTPUT (入出力)の両方でがっかり!… というわけです。

年をとるともう1つ困った症状が表れます。それは、「覚えていたことが、いざというときに出てこない」というものです。

(中略)

似たようなことは誰もが覚えがあるのではないでしょうか。しかもこれ、年々ひどくなっている気がしませんか?まさにこれこそ、加齢による衰え?

ところが、ここでも私たちは加齢というショックばかりに気が行ってしまっていて、中野さんの話しをちゃんと聞けていないようですね。

再び記憶の箱でたとえるなら、これは箱の中身がたくさんになってしまったことによって、いざ中身を引っ張り出そうにも見つかりにくくなっている状態です。要はデータベースがもう第二なってしまったことで、検索に時間がかかるようになってしまっているのです。

ですから私たちは、脳というものの構造・働きをよく理解しておかなくてはいけないということなのですね。

「えっと、あの人、なんてなまえだったっけ・・・」と、ハードディスクがカリカリカリカリと検索し続けているイメージです。だから、これも決して記憶力そのものが落ちているわけではないのです。
それを払拭(ふっしょく)するには、なるべくふだんからよく検索にかけておくことにつきます。

つまり…

  • 脳はノンストップで外からの刺激 - 目、耳、鼻など五感を中心して外から入って来る刺激を記憶・情報として取り込んでいる
    そして
  • 脳は記憶量を自動判定して、言ってみればセーブモードに入るようにできている

自分の心と体 - そんな意味合いの授業を子どもの頃に受けたことがあるような気がするのですが、大人になってからも誰か・どこかで、こんな自分を見直すためのきっかけをもらいたいものです。

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言い換えると、覚えられない+思い出せない という症状は脳がセーブモードに入りはじめている・入ったというシグナルだと捉えるべきなのですね。

逆の言い方をすれば、限りのある能力を効率的に使おうと自分でモードを切り替える - 持ち主の私たち自身にも知らされていない機能を持っているんだと言えそうです。

さらに言えば、覚えられなくなった+思い出せなくなったという自分の変化にめげてしまわず、モードが切り替わっているんだという自覚を持てるかどうか - 記憶力を中心とした自分の脳の機能とうまく付き合うには、なによりその自覚が必要だということを覚えておきましょう。