人生を予測し、備えることはできるのか

私たちの人生は、これまでになく長くなる。私たちは、人生のさまざまな決定の基準にしているロールモデル(生き方のお手本となる人物)より長い人生を送り、社会の習慣や精度が前提にしているより長く生きるようになるのだ。それにともなって、変わることは多い。変化はすでに始まっている。あなたは、その変化に向けて準備し、適切に対処しなくてはならない。本書は、その手助けをするために書いた本だ。

出典:リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット著 池村千秋訳
LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略

こんなふうに言われると、「ああ、そうなんだ!」「自分も準備しなくてはいけないのかな?」 と先入観のようなものが出来上がって、そのあとの話しもその最初の印象をベースにして聞いてしまいそうですね。

目にすることが増えてきたかなと感じる平均寿命の推移を見える化したグラフなどを見ても、右肩上がりになっていくことが見込まれているんだなということが分かりだけに尚更です。

すでにそれぞれの人生を過ごしてきて、それぞれ30代、40代、50代… になった状態でこの著書に出会った場合、さてどうすればいいだろうかと自分の周りを見まわすような感覚にもなりそうです。

 

ただ、ちょっと気をつけなくてはいけないなとも思うのです。
高齢化社会、介護や医療の問題点、経済的な不安とか私たち自身がもうすでにたくさんの先入観を持っているということです。”正しく理解している” つもりになっているという感覚も含めてです。

著者二人の専門は、それぞれ経済学と心理学だ。この二つの視点は、互いに相容れないものではない。むしろ、100年ライフが到来することの影響を理解しようと思えば、両方の視点を統合する必要がある。長い人生を幸せで生産的なものにするためには、合理的な選択をおこない、変化を盛り込んだ計画を立てなくてはならない。しかし同時に、未来の人生を形づくる要素としては、個人のアイデンティティと社会的な要因も無視できないのだ。

という著者の言葉は多分、読み流されてしまうだろうと思います。

100年ライフや100年ライフに関係することを理解するには「経済学」「心理学」そして「個人のアイデンティティ」と「社会的な要因」が必要だと言っています。もし、私たちの先入観にあるかも知れない「不安」の「その原因」になっているものがその「社会的な要因」で、”無視できない” ものだとしても、それがすべてはないということ。

ゆっくり読めば 「そんなことは分かっているさ!」 ということなのですが、私たちはその大事な部分を割愛し、聞いたことを四捨五入して分かった気になって終わりにすることが多いのです。

別の言い方をすれば、数十年の人生のことに1冊の本やその本を読む数時間で解説を求めようということはできるはずもない - そのことをちゃんと自覚しておかなくてはいけないのです。

今はコストパフォーマンス(費用対効果)が高くてあたり前、それが得られないものに価値はないと言わんばかり。何かの宣伝文句のように「早い・安い・うまい」ものを求めて当然と、私たち自身の中身をデフレ化したまま過ごしています。私たち自身が時間のかかることに耐えられなくなっているとすれば、100年ライフという、向こう10年20年、あるいは世代によっては40年50年という暮らしを考えることは私たちにはできないのです。

 

一つひとつは気分が重くなるような現実とつながったことばかり - もしそうだとしても、私たちは自分のマインドをたくましくしておかなくてはいけない… そんなことを感じながら読み進めたい1冊です。