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亡くなったあと、申告して? その内容が認められれば初七日の間だけ現世に戻れる!?
自分がいなくなった世界をあの世から見るとこんなふうに見えるのかも知れませんね。

見たいような見たくないような - けれど、誰もがどこかで一度はこんな風景を想像したことがあるかも知れないなと感じるお話し。
のぞいてみますか?^^

 

不思議なくらい現代的な? エントランスとサポートセンター??

なんとも不思議な物語の場面は、はじまってからそうページを繰らないうちにいつの間にか、その場面に移っています。

右手の前方に白いビルが見える。四階建ての清潔な感じのする、役所か学校のようだ。
人も車も、その建物の門に吸いこまれてゆく。それにしても、何というさわやかな気分だろう。料理屋で倒れたあと、なぜここにいるかはともかくとして、まるで少年に戻ったような軽やかさだ。

出典:浅田次郎 氏著・「椿山課長の七日間 (朝日文庫)

鎌倉の円応寺というお寺をご存知の方も多いと思いますが、そのお寺に祀られている十王の像。死者は亡くなると七日ごとに十人の裁判官の裁きを受けなければならないとか。

死後の世界なんて言われるとそんな円応寺のお堂の雰囲気を自然と思い出してしまいそうになりますが… とても現代的??^^ な雰囲気はまるで、鉄筋コンクリート製で免震構造の大きな病院を連想させます。
そこに集まっている人たちも普段の私たちの周りにいる人たちみたいです。

ひとつだけ違うのはそこにいる人たちがみんな戒名で呼ばれていること。
これからはこれがあなたの名前ですからね と言われてみんな素直にその呼び名を受け入れるのです。

その様子はなんだかはじめて幼稚園に登園した日を思い出すような感じです。

ほの暗く色気のない、いかにも「お役所」という感じの階段を昇ると、長い廊下の遥か彼方まで番号をふられた教室が並んでいた。
死者たちは講習票に大きく書かれたそれぞれの番号の教室に入っていく。
「講習室をおまちがえにならぬよう、よおくご確認下さあい」
ここでも制服姿の係員が懇切丁寧な道案内をしている。
「あの、講習ってなんですか」

(中略)

「まず、現在のお立場をご説明いたします」
なるほど、これは店内案内の手順通りだ。まずはお客様の現在位置を確認させる。
「で、ここはどこなんですか」
「ですからその点は講習室でお教えします」

そして自分の置かれた状況を受け入れられない人は異議申し立てをし、それ相応の事情が認められると現世に戻してもらうことができるのです。
七日間だけ。しかも、生前とは似ても似つかないまったくの別人として。

七日間といっても亡くなった日からカウントしてですからまるまる七日というわけにはいきません^^;

 

知らない方が良かったのか、知って救われるのか

登場人物たちは亡くなった原因がみなちがうのに、この世に未練を残しているというところが同じです。だからこそ、現世に戻してもらうのですが…

物語をたどっていくと、みんなそれぞれに愛されていた、しかもそのことを知らずに生きていた、そして知らないままあの世に来てしまったというところがおんなじだ! と気づくと思います。

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彼らを大切に思っていた人たちは、悲しいくらいに彼らをそれぞれに大切に思っていて、そのことに気づくことなく生きていた彼らはその人たちといっしょにいられないことになって知るのです。

知ること・知らせること、知りたいと願うこと - とかく饒舌なこの世界は時間も距離も短く近くなって、私たちはほとんど二十四時間、つながり合っている。
なのに、こういうつながり - 信じる - ということをちゃんと知っているだろうか? と問われているような気がしてきます。

自分がいなくなったあとの世界、それは決してのぞいてはいけない世界なのかも知れない - そんなことを感じます。